「借金が大きくなり、今月の支払いができない。」
「借金の督促が止まらない。止めたい。」
「借金をどうにかしなければならないが、破産は怖い・大変なイメージがある。」
「破産するしかないと思うが費用が支払えない。」
「借金問題は弁護士以外の士業もいるが、なぜ弁護士に依頼しなければならないのか」
このようなご相談・ご質問をいただくことがあります。
借金といえば債務整理というイメージがあるかもしれませんが、実は借金の額が大きい場合は、破産の方が有効な場合がほとんどです。
この破産手続は、弁護士以外の他士業(行政書士、司法書士など)では代理できません。
ここでは、「破産手続の概要」「弁護士事務所に破産手続を依頼するメリット(デメリット)」「破産の弁護士費用の相場と当事務所での費用」「弁護士費用の分割払いの可否」についてご説明します。
目次
1 破産手続とは
2 弁護士事務所に破産手続を依頼するメリット(デメリット)
3 破産の弁護士費用の相場と当事務所での費用
4 弁護士費用の分割払いの可否
5 おわりに
1 破産手続とは
破産手続は、「支払不能または債務超過」にある債務者の財産の清算を行い、債権者に比例的平等的な満足を図る手続、といわれております。
そのため、破産手続を開始するためには個人の場合は「支払不能」であることが(破産法15条1項)、法人の場合は「支払不能又は債務超過(債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態をいう。)」(破産法16条1項)であることが必要となります。
この点を適切に裁判所に理解していただくために、必要な証拠を収集して裁判所を説得する必要がございます。
また、支払不能、債務超過と認められたとしても、個人の破産の場合は、借金を帳消しにする判断である免責許可について申し立てをする必要があります(破産法248条1項)。そのため、この免責許可決定を求めるべく、必要な証拠を収集して裁判所を説得していくこととなります。
2 弁護士事務所に破産手続を依頼するメリット(デメリット)
- メリット
- 破産手続は弁護士以外の士業では代理人になれない
借金を帳消しにできる破産(免責許可申立)手続ですが、この手続は司法書士等の他士業では代理人になれません。また、他士業が書類作成だけをして本人が申し立てるケースもあると聞いておりますが、そのような方法の場合は、裁判所に支払う費用が高くなります(東京地方裁判所民事20部の場合は、弁護士が申し立てた場合は、本人申立てよりも20万円ほど安くなる場合が多いです。)。
基本的には、破産手続を検討する場合は、弁護士に依頼をしたうえで手続を進めるべきといえます。
- 債権者からの督促が止まる・返済不要となる
弁護士に依頼をした後は、依頼から間もなく、債権者に対して受任通知を発送します。受任通知とは、債権者に対して、もう支払いはできないので今後は支払い停止すること、今後の連絡は弁護士に対してするようにお知らせする通知文です。
受任通知を受け取った場合、貸金業者は、貸金業法21条1項9号により債務を弁済することを要求することができなくなります。債権回収業者(いわゆるサービサー)は、債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)18条8号により債務を弁済することを要求することができなくなります。
そのため、督促が止まり、平穏な生活を送りつつ、破産手続に臨むことができるようになります。
もちろん、手続が進み、免責許可決定が得られた場合は、借金が帳消しになり返済不要となっておりますので、再度督促がくることはありません。
- 裁判所を説得する書類の作成・資料の収集ができる⇒免責が得られやすくなる
破産手続を選択したとしても、個人の方の場合は最終的に借金を帳消しにする免責の判断が得られなければ意味がありません。
当事務所では、どのような主張をすれば、免責許可決定が出やすいか裁判例や文献、これまでの実務の蓄積に基づき事案ごとに分析・検討して、主張していきます。
煩雑な申立手続や主張の構成、本当に必要となる資料の収集などを弁護士に任せることができる点は、スムーズの事件の進行と免責許可決定にも繋がり、大きなメリットとなります。
- 債権者や裁判所との間でやりとりをしなくて済む
ご依頼を頂いてからは弁護士が窓口となるため、債権者と直接やりとりをすることは基本的にはございません。
また、裁判所に申し立てた後は、面接の際に同行頂く場合はありますが、常に弁護士が隣におり、安心して手続にお臨みいただけます。
- デメリット
上記のとおり、ご自身で破産手続を実施した場合は裁判所に納める申立費用が高額になることもあり、「弁護士に依頼するデメリット」自体はないと考えております。
ここでは、「破産手続」一般にいわれるデメリットということでお話します。
- 時間と費用がかかる
破産手続は、個人の方で原則的な形態である管財事件となった場合、裁判所の費用として23万円程度、弁護士費用として、着手金・報酬金合わせて40万円程度はかかります。時間も、たとえばこれらの費用を月5万5000円ずつの分割払いとした場合は、積み立てが完了するまでに1年程度かかる場合もあります。
もっとも、破産手続を選択される状況の方は、このような費用と時間をかけたとしても、消せる借金額の大きさから、デメリットを上回るメリットがあるケースが殆どです。
- 一定の財産を手放す必要がある
破産をする場合は、一定の財産は換価して債権者への弁済に充てる必要があります。
もっとも、多くの方が誤解している点としては、「意外に残せる」という点です。破産手続は、今後の経済的な更正を考えて手を進めることとなります。そのため、経済的更生に必要な財産は、自由財産として残すことができます(破産法34条3項4項参照)。
東京地方裁判所民事20部の運用では、現金であれば99万円、預貯金であれば20万円まで残せるので実に119万円まで残すことができます。
車についても、その評価額次第では残すことができる場合もあります。
デメリットと考えていたことが、そこまでデメリットではない場合もあるので、この点はまずは弁護士までご相談ください。
- 職業、資格の制限が発生する
破産手続が実施されると免責許可決定後の復権までの期間、資格が制限されます。その資格制限期間は事案によりまちまちですが、一般的に特に問題点のない破産手続であれば3ヶ月程度とされております。
具体的には、士業一般、警備員(警備業法14条1項)、後見・保佐・補助(民法847条等)、会社と委任契約を締結する取締役(破産により委任契約が当然終了します。民法653条2号)等で問題が生じるケースがあり、この点は個別に弁護士までご確認を頂く必要があります。
- ブラックリスト・官報に掲載される
破産手続を開始した場合は信用情報機関に事故情報として登録されることになります。これを一般的にはブラックリストに登録されるといいます。
一度登録されると5年から7年程度掲載されることとなりますが、キャッシュカードの利用や銀行の利用ができなくなるわけではないので、日常生活で困ることは必ずしも多くはないといえます。
住宅ローンを組む際には、事故情報を考慮され、融資が通りづらくなる場合はございます。
あとは、官報という雑誌に掲載されます。こちらは、インターネットで公開される情報ではないため、通常、破産をしたことは他の人には分かりません。
3 破産の弁護士費用の相場と当事務所での費用
- 弁護士費用の相場
弁護士費用は、各事務所が自由に決定することができます。そのため、画一的な価格は存在しません。
そのなかで、ひとつの相場となるのが、かつて弁護士費用を日本弁護士連合会が定めていた時代に使用していた「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準」です。
こちらの基準では、弁護士費用を、事件又は法律事務の依頼を受けたときに生じる「着手金」と事件等の処理が終了したときに生じる「報酬金」に分けて説明しております。
同基準に基づくと、着手金は、資本金,資産及び負債の額,関係人の数等事件の規模並びに事件処理に要する執務量に応じ,20万円~50万円以上とされております。
報酬金は、免責許可決定を受けたときに限り発生し、配当試算,免除債権額,延払いによる利益,企業継続による利益等を考慮して算定するとされております(個別の金額の明示はなし)。
- 当事務所の弁護士費用
旧日本弁護士連合会の基準によると、着手金が固定ではなく、報酬金もケースにより金額が前後することからご依頼し辛い場合がございます。
そのため、当事務所では、旧報酬基準を若干変更し、よりご依頼をしやすく固定費用形態としております。具体的な、当事務所の基準は次のとおりです。※税込表記です。
自己破産 |
着手金 |
報酬金 |
同時廃止手続 27万5000円 |
同時廃止手続 |
|
管財手続 38万5000円 |
管財手続 |
4 弁護士費用等の分割払いの可否
弁護士費用や裁判所費用の分割払いを認めるかどうかは、各事務所によって異なります。裁判所の費用は、時期と申し立てる裁判所にもよりますが、東京地方裁判所の場合は破産管財事件の場合は、概ね22万円程度要します。
当事務所では、月額55000円以上をお支払い頂ける場合は分割払いでのお支払いを承っております。
ご依頼後は、弁護士による受任通知の発送により、債権者への返済が止まるため、止まった分を弁護士費用等のお支払いに充てていただくイメージとなります。
5 おわりに
借金でお悩みの方は、非常に増えております。
破産手続は一昔前よりも非常に身近な手続といえるかもしれません。
お悩みの際はまずは一度弁護士までお気軽にご相談ください。
※初回ご来所相談30分無料