「民事訴訟では尋問があると聞いたが、どのような手続なのか不安」

「証人/当事者として証言することになったが、緊張する」

 

このようなご質問は、多くのお客様から多く寄せられる質問です。

このコラムでは、民事訴訟における尋問の事前準備と手続の流れについてご説明します。

 

【目次】

1 民事訴訟における尋問とは

2 尋問手続の事前準備

3 尋問当日の流れ

4 おわりに

 

1 民事訴訟における尋問とは

民事訴訟では、例えばお金の貸し借りが問題となるケースなどでは、まずは契約書や領収書といった「文書」で貸し借りの事実などを証明するよう訴訟活動を試みることになります。
もっとも、契約書といった文書がないケースや文書だけでは事実関係が分からないケースでは、訴訟の原告や被告、第三者である証人が裁判所において証言をする「当事者尋問」「証人尋問」という手続を行い、事実関係を証明することを試みることになります。

 

2 尋問手続の事前準備

⑴ 証人等の選定 
民事訴訟では、尋問手続の前に双方の主張・証拠を整理することにより、尋問において何を聴かなければならないか(尋問で明らかにしなければならない「争点」は何か)につき、予め確認するのが通常です。
そこで、このような「争点」に関する事実関係を明らかにするために、原告、被告、証人のいずれの人から法廷で話しを聴くべきかを選ぶことになります。

⑵ 陳述書の作成
また、民事訴訟では、証人予定者の供述内容を記載した「陳述書」を尋問前に裁判所に提出し、当事者・裁判官が尋問の目的を十分に達成することができるよう準備することが通常です。

⑶ 証人の決定、リハーサル
そして、当事者・裁判官は争点や陳述書の内容などを踏まえて、証人を決定することになります。また、証人尋問の本番前にリハーサルを実施することになります。

 

3 尋問当日の流れ

⑴ 人定質問、宣誓
尋問当日は、裁判官が証人に氏名・住所などを尋ねる「人定質問」を行い、裁判所が用意した宣誓書を読み上げる形で、記憶に従って真実を述べる旨の「宣誓」をすることになります。

⑵ 主尋問、反対尋問、再主尋問、補充尋問
尋問は、まずその証人の尋問を申請した側が行う「主尋問」を行うことになります。主尋問では、既に提出している陳述書を踏まえ、質問者(弁護士)からの一問一答形式の質問に対し、回答することで証言することになります。

その後、相手方の弁護士から、主尋問の内容の信用性を攻撃する「反対尋問」がなされることになります。反対尋問では、反対尋問者にもよるところではありますが、証人自体の信用性(事実関係の認識の正確性、記憶の正確性、表現の正確性、利害関係の有無)と証言自体の信用性(証言内容の自然性、合理性、ほかの証拠などとの整合性)といった観点から矛盾点などを突く尋問がなされることになります。
反対尋問後は、今度は主尋問者から、反対尋問で攻撃された点につき回復を図る再主尋問がなされることになります。

また、これらの後には、裁判官自らが質問を行う「補充尋問」が行われることもあります。補充尋問は裁判官が疑問に思っている点を聴くことになりますので、時として厳しい反対尋問が終わってホッとしているところですが、油断することなくよく質問を聴いて答える必要があります。

そして、証人尋問が終了した後は、裁判所が「尋問調書」という尋問の内容を文字起こしした調書を作成することになります。この尋問調書の内容に基づき、尋問の内容を踏まえた主張を行うこともあります。
また、尋問終了後に引き続き、尋問の結果を踏まえて和解の席が設けられることもあります。

⑶ 尋問当日の持参物等
尋問当日は、宣誓書等に押印いただく必要がありますので、印鑑(実印でなくて構いません。)をご持参いただくことになります。また、服装ですが、華美でなく落ち着いた服装が望ましいとはいえますが、スーツなどの正装でなければならない訳ではありません。
証人については、日当請求をすることができますが、実務上は放棄することが通例かと思います。

 

4 おわりに

民事訴訟における尋問は、一生に一度あるかないかの手続であり、緊張を強いられる手続きではありますが、事前準備がその成功・不成功を決するといっても過言ではありません。
事実関係に争いがある、事実関係が複雑であるなど民事裁判における尋問が見込まれる交渉・訴訟では、弁護士が関与して十分な事前準備をすることが重要となりますので、まずは民事裁判の流れなども含めて弁護士にご相談いただければと思います。

 

 

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