「貸したお金が返ってこないので、訴訟を起こして勝訴した。それでもなお支払わないので強制執行でお金を回収したい。」

「滞納家賃について支払うよう命じる判決を獲得したので、強制執行をしてでも回収したい。」

このようなご質問は、多くのお客様から寄せられるご質問です。

このコラムでは、金銭債権を回収するための方法として、債務者の債権(=預貯金や給与など)を差し押さえる、いわゆる債権執行について説明をします。

 

【目次】

1 債権執行とは

2 債権執行手続の流れ(~申立直前まで)

 ⑴ 債務名義の正本の取得

 ⑵ 債務名義に執行文を付与する

 ⑶ 判決の送達証明書の取得

 ⑷ 資格証明書(法人の商業登記事項証明書or代表者事項証明書)の取得

 ⑸ 申立書の作成

 ⑹ 債権執行申立手数料(収入印紙)と郵便切手の準備

3 債権執行手続の流れ(申立て~取立て)

 ⑴ 申立て

 ⑵ 債権差押命令の発令

 ⑶ 取立権の発生

 ⑷ 取立て

4 債権執行の弁護士費用

5 債権執行で弁護士が介入するメリット

 

1 債権執行とは

債権執行とは、債権者が、債務者の給与を差し押さえたり、債務者の預貯金のある金融機関に対し預貯金を差し押さえて、取り立てることにより、債権回収を図ることをいいます。

 

2 債権執行手続の流れ(~申立直前まで)

 債務名義の正本の取得
債権執行を行うためには、まずは、判決などの強制執行をする根拠となる債権債務等を記載した公の文書(=債務名義といいます。)の正本を取得する必要があります。
以下では、最も一般的な債務名義である判決を前提に説明をします。


 債務名義に執行文を付与する
取得した判決(=債務名義)は、それだけでは強制執行に使用することはできず、裁判所書記官に強制執行ができる状態にあることを公証してもらう必要があります。これが執行文の付与という手続になります。
執行文付与の手続は、例えば債務名義が判決の場合は、当該事件記録が保存されている裁判所(判決から間がない場合は、通常は、判決を出した裁判所)に1通あたり300円の収入印紙を納めて、執行文付与の申立書を提出して行うこととなります。


 判決の送達証明書の取得
債権執行を行うためには、債務名義が判決の場合は、判決が債務者に送達されたことを示す証明書(=送達証明書といいます。)が必要となります。
送達証明書の取得手続は、債務名義を作成した裁判所に1通あたり150円の収入印紙を納めて、送達証明申請書を提出して行うこととなります。


 資格証明書(法人の商業登記事項証明書or代表者事項証明書)の取得
債権者・債務者・第三債務者が会社や銀行などの法人の場合は、申立ての日から(裁判所にもよりますが東京の場合)1か月以内(債権者の場合は2か月以内)に発行された資格証明書が必要となります。
資格証明書は、法務局から取得しますが、今は登記ねっとを通じたオンラインによる取得申請も可能となっております。


 申立書の作成
前記⑴から⑷の書類を準備し、申立書を作成します。
何を差し押さえるか等を詳細に記載していくこととなります。
申立書は、フォーマットが裁判所のホームページに掲載されている場合がありますので、そちらも参考に記載をしていきます。


 債権執行申立手数料(収入印紙)と郵便切手の準備
申立手数料は、債権者1名、債務者1名、債務名義1通の場合は4000円です。
郵便切手は、裁判所が債権執行の際に行う郵送に使用します。手続を行う裁判所ごとに必要な切手(何円切手を何枚といった組合せを含む)が異なりますので、申し立てる予定の裁判所に問い合わせる(あるいはホームページに掲載している裁判所はホームページで確認する)必要があります。

 

3 債権執行手続の流れ(申立て~取立て)

 申立て
準備が整ったら、相手方(債務者)の住所地を管轄する地方裁判所に債権執行の申立てを行います。
窓口に持参することも出来ますし、郵送での申立ても可能です。
その際、第三債務者(=債務者が有する債権(預貯金債権や給与債権など)の債務者(金融機関や勤務先など支払義務者)のこと)に対する陳述催告の申立ても同時に行うことが一般的です。この申立ては、第三債務者が、差押えの対象債権を有しているのかどうか、有している場合はその額がいくらなのか、支払う意思があるのかどうか回答を求める申立てです。


 債権差押命令の発令
申立てが適法になされた場合は、裁判所は、債権差押命令を発令することとなります。おおよそ、申立書の提出から発令までは2~3日程度です。
発令後は、まずは債権差押命令が第三債務者に送達されます。第三債務者は、同命令を受け取った以降は、債務者に弁済することは禁止されます。
その後、第三債務者への送達から1週間ほど遅れて、債権差押命令が債務者に送達されます。
このように第三債務者→債務者の順とされているのは、先に債務者に送達した場合、債務者が預貯金などを引き出してしまう可能性があるためです。


 取立権の発生
債務者に差押命令が送達された日から1週間経過後(給与・賃金・退職年金・賞与・退職手当等は、養育費などを請求する場合を除き4週間経過後)、申立人は債務者の預貯金債権や給与債権を管理する第三債務者(銀行や勤務先など)から直接支払いを受けることができるようになります。
第三債務者から陳述催告の申立てを行っていれば、差押債権の有無や額などの陳述書が裁判所に送付されます。


 取立て
第三債務者からの陳述書を参考に、第三債務者に取立てを行うこととなります(取立ては債権者自ら行う必要があり、裁判所が行ってくれるわけではありません)。
金融機関や大きな会社等は専門の担当部署が用意されている場合も多く、比較的スムーズに手続が進むことが多いです。中小企業等で差押えに慣れていない第三債務者の場合は、手続の説明から行う必要があることもあります。
第三債務者から支払いを受けた場合は、取立届を裁判所に提出することとなります。
なお、第三債務者としては、債務者への支払額以上の金銭を支払う理由はありませんので、取立てに要する費用(振込手数料等)は、債権者が負担することになります。

 

4 債権執行の弁護士費用

当事務所の基本的な債権執行の弁護士費用は、以下をご参照ください。

https://kl-o.jp/debt/#saikenhiyou

※養育費や婚姻費用等の債権執行の弁護士費用は別途、弁護士費用の基準を設けております。

https://kl-o.jp/divorce/#00002

 

5 債権執行で弁護士が介入するメリット

債権執行は、差押対象をどう設定するのか、差押対象を探索するためにはどうすれば良いか、取立を実際に如何に迅速かつ有効に行うか等、単純には進まない点が多くございます。
また、債権執行を行うと債務者は、自分の銀行が使えなくなること等もあり、逆上して連絡をしてくる場合もあり、その対応も必要となります。
執行する債権によっては、本コラムで説明した手続どおりには進めることができない場合もあり、個別に手続自体も検討する必要があります。

まずは、債権執行でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。

 

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