「コロナやさまざまな事情で売上が不振となり、会社を畳もうと思う。」

「経営者が死亡し、後継者も決まっておらず、親族としては倒産を検討したい。」

こういったご相談は日常的に寄せられます。
このコラムでは、法人の倒産(破産)を検討中の方に向け、(東京地方裁判所での法人破産手続を念頭に)法人破産手続のおおまかな流れについて解説いたします。

 

【目次】

1 弁護士への法人破産申立てに関する相談、法人破産申立ての方針の決定

2 破産申立ての準備

3 裁判所への申立て以降

 自己破産に関する当事務所の弁護士費用

5 おわりに

 

1 弁護士への法人破産申立てに関する相談、法人破産申立ての方針の決定

法的な倒産手続は、破産、民事再生等のいろいろな選択肢がありますので、まずは弁護士にご相談いただき、会社の経営状況・経営成績、資産状況・負債状況を踏まえ、どのような倒産手続をとるべきかを決めることになります。
一般的には決算書上債務超過に陥っている場合には、破産申立てを検討することが多いです。
また、破産申立てをすることに決めた場合も、取引先・金融機関を含めた債権者に弁護士が就任した旨の通知(受任通知)を早急に送るべきケースなのか、それとも取引先の混乱等が生じるのを避けるために、受任通知の早急な発送は控え、隠密に破産申立ての準備を進めるべきケースなのかを見極める必要があります。
加えて、代表者が連帯保証している場合等は、代表者の個人破産や経営者保証ガイドラインに基づく手続も検討する必要がある場合があり、その見極めも必要となります。

 

2 破産申立ての準備

⑴ 会社の経営状況・経営成績、資産状況・負債状況などのヒアリング・資料収集・申立書作成
破産申立ての準備にあたっては、
・会社の役員の状況、株主の状況
・従業員の人数、給料支払状況、契約内容、解雇の有無
・本店事務所や営業所、倉庫などの賃貸物件の有無、契約内容、明渡の要否
・仕掛中の業務の有無、内容
・会社の決算書類、重要な契約書の所在、内容
・現金、預貯金、手形、売掛金、保険証券の所在、有無、内容
・負債の状況
などをヒアリングさせていただき、資料収集の上、申立書を作成することになります。

⑵ 弁護士費用・裁判所予納金の準備、取締役会決議
破産申立てにあたっては弁護士費用・裁判所予納費用をどこから準備するかの算段もつけることになります。また、取締役会決議など破産申立てをするに際して必要となる会社法上の手続も行います。

⑶ 従業員の解雇、賃貸物件の明渡など
申立て前に従業員の解雇手続、賃貸物件の明渡を検討することになります。

⑷ 申立までの所要期間
法人により様々ですが、直前まで経営しており、隠密に破産を進めるケースはかなり短い期間で申立てを行うケースが多いです(1か月以内など)。
他方、休眠していた会社で会社資産も預貯金程度の場合は、相当の調査を行ったうえで申し立てる場合が多いです(申立まで半年から1年程度を要する場合も事案によってはございます。)。

 

 

3 裁判所への申立て以降

⑴ 前記2の準備ができ次第、中目黒の東京地方裁判所民事20部に破産手続の申立てを行います。

⑵ 申立後は、裁判官と面接を行います(この面接は、即日面接といわれ、一般的には弁護士が対応いたします。)。

⑶ その後、破産手続開始決定が発令されると裁判所が選任する破産管財人(通常は弁護士)への引継ぎ・打合せ(管財人面接といいます。)を行い、破産管財人が郵送物の回送等を通じて、さらに会社の経営状況・経営成績、資産状況・負債状況などの調査を行うとともに契約関係の処理や債権回収などの管財業務を行うことになります。
また、申立代理人・役員・状況に応じて退職した従業員も適宜この管財業務の遂行に協力していくことになります。従業員が協力をした場合は、協力の内容に応じて、管財人の判断で給与が支払われる場合もございます。

⑷ そして、破産管財人が一通りの調査を終えた後、債権者集会において会社の経営状況・経営成績、資産状況・負債状況、管財業務の状況などを報告し、配当すべき財産がある場合には配当手続を行ったうえで、破産手続は終結となります。なお、管財人の業務が多岐にわたる場合は、債権者集会は1回では終わらず、複数回実施される場合もございます。

⑸ 申立から手続終了までの所要期間
債権者集会が何回続くかによりますが、概ね、申立てから3ヶ月程度あとに債権者集会の予定が組まれることが多いです。

 

 自己破産に関する当事務所の弁護士費用

法人破産に関する当事務所の弁護士費用は、以下のリンクからご確認いただけます。
その他、費用面でご不明な点がございましたら相談時に詳細にご案内をさせていただきます。

借金/債務整理

 

5 おわりに

法人破産手続は会社の立ち上げかそれ以上に、労力・専門知識を要する法律事務になり、多数の債権者との協議・交渉が必要になるなど利害関係の調整も困難を極めます。
法人破産について何か少しでもお悩みの際は、当事務所でお力になれる可能性がありますので、まずはお気軽に弁護士までご連絡いただければと思います。

 

 

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