「国の▲▲▲▲省に対し補助金の申請を行ったが、交付できないといわれた。」
「■■県/市に対し助成金の申請を行ったが、交付できないといわれた。」
国や地方自治体に対する補助金・助成金の申請を巡ってトラブルになることがあります。
本コラムでは、補助金・助成金を巡る行政トラブルについて解説いたします。
【目次】
1 補助金・助成金について
2 「補助金の交付決定・不交付決定」の法的な位置づけはさまざまであること
3 「補助金の交付決定・不交付決定」の法的な位置づけに応じて解決策もさまざまであること
4 事業者の行政問題に関する当事務所の弁護士費用
5 まとめ
1 補助金・助成金について
国、地方自治体(県・市町村)またはそれらの外郭団体は、事業活動を規制する規制行政だけではなく、事業活動に対する補助金・助成金の交付といった給付行政も行っています。
このような給付行政は、補助金交付要綱・補助金交付規程といった、それぞれの補助金ごとにさまざまな交付要綱類があるとともに、関係する法令が複雑に絡む場合があり、ときにはこれらの解釈・運用を巡って、補助金・助成金を巡る行政トラブル(申請した補助金が交付されない、申請額から減額されて交付されたなど)になることもあります。
2 「補助金の交付決定・不交付決定」の法的な位置づけはさまざまであること
ひと口に「補助金の交付決定・不交付決定」といっても、その法的な位置づけはさまざまであり、補助金・助成金を巡る行政トラブルの解決策としてどのような法的な方法をとるべきかについても、その法的な位置づけを踏まえて慎重に検討する必要があります。
例えば、「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(補助金適正化法)では、「補助金等」につき、次のように定義されています。
○補助金適正化法(抜粋) (定義) |
そして、補助金適正化法においてこのように定義されている「補助金等」の交付決定・不交付決定につき、補助金適正化法は、
補助金等の交付の申請(法第5条) |
という仕組み(行政行為としての仕組み)を採用しています。
他方、地方自治体(県・市町村)が支給する補助金については、基本的に補助金適正化法の適用を受けないことから、このような補助金については、原則として、いわゆる行政処分ではなく、
補助金の交付の申込みの意思表示(民法上の負担付き贈与の申込みの意思表示) |
という、民法上の契約関係であると考えられています(ただし、純粋に民・民の関係にある対等当事者同士の契約関係といえるかには議論があります。)。
3 「補助金の交付決定・不交付決定」の法的な位置づけに応じて解決策もさまざまであること
前記2のとおり、「補助金の交付決定・不交付決定」の法的な位置づけはさまざまであり、この法的な位置づけを正確に見極めるためには、補助金適正化法、補助金・助成金を交付する給付行政(政策)に関する基本法令、補助金を交付する主体について定めた法令、これら法令と補助金交付要綱・補助金交付規程の関係(補助金を巡るルールの階層構造・階層関係)を考える必要があります。
なぜならば、トラブルになっている補助金に関する行政の判断が、「行政行為としての仕組み」である場合には、「行政処分取消訴訟・行政処分義務付け訴訟」という法的手段をとる必要がある一方、「民法上の契約関係」である場合には、「民事訴訟または当事者訴訟」という法的手段をとる必要があり、これらを間違えると、「行政の判断が正しいか、間違っているか」という中身の問題に立ち入ることなく、訴えが門前払いとなってしまうリスクがあるからです。
また、トラブルになっている補助金に関する行政の判断が「民法上の契約関係」である場合には、はたして行政側に「負担付き贈与の承諾」をする義務があるかどうか(信義則上契約締結義務があるか、契約締結を強制する法令の定めがあるかなど)、といった難問に直面することもあるからです(かなり乱暴な言い方ではありますが、この記事を読んでいる方が、誰かから「お金をください。」(贈与の申込み)と申し向けられたとして、あげることも出来れば(承諾)、拒むこともできる(不承諾)というイメージでしょうか。)。
4 事業者の行政問題に関する当事務所の弁護士費用
事業者の行政問題に関する当事務所の弁護士費用の目安は、以下のリンクからご確認いただけます。
ひと口で行政問題といってもこれまでにご説明したとおり、構造は複雑であり、個別に検討を要する事項があるため、費用は都度見積もらせて頂きます。
5 まとめ
行政争訟は一般的に、高度の専門性を要する分野であると弁護士の中でも考えられていますが、その中でも補助金を巡るトラブルは、そもそもどのような法的手段をとるべきかという入り口の段階から、より慎重な検討を要する場合が多いといえます。
補助金を巡る行政トラブルについて何か少しでもお悩みの際は、当事務所でお力になれる可能性がありますので、まずはお気軽に弁護士までご連絡いただければと思います。
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