「私は離婚をした後、再婚を決めました。再婚後の夫と私の連れ子は養子縁組する予定です。その場合、前の夫からの養育費はどうなってしまうのでしょうか。」

「妻と離婚し、元妻との間の子に毎月養育費を払っています。その後、再婚をし、新しい妻は専業主婦になることとなりました。前妻の子に養育費を払いつつ、今の妻を養うことは大変です。養育費を見直せないでしょうか。」

再婚と養育費をめぐっては、このようなご相談を受けることがございます。
このコラムでは、再婚と養育費の関係について、受け取る側、支払う側、それぞれの視点から詳細に解説をいたします。

 

目次
1 再婚しても養育費の支払い・受け取りは継続される?
2 養育費を受け取る側が再婚した場合の影響
⑴ 子どもと再婚相手が養子縁組をした場合
⑵ 養子縁組がされていない場合
3 養育費を支払う側が再婚した場合の影響
⑴ 新たな子どもが生まれた場合等
⑵ 再婚相手の子どもと養子縁組をした場合
4 養育費を見直すときの手続と注意点
⑴ 話合いでの合意を目指す
⑵ 話合いが難しい場合は調停へ
⑶ 再婚後の養育費の計算は複雑に
5 一方的な打切りが招くリスクとは
6 弁護士に依頼するメリットとは?
7 弁護士費用について
8 まとめ

 

1 再婚しても養育費の支払い・受け取りは継続される?
再婚をきっかけに、「今後も養育費のやり取りは続くのか」と悩む方は少なくありません。しかし、再婚しただけで養育費の支払い義務や受け取る権利が自動的に消えることはありません。
そもそも養育費は、子どもが経済的に自立するまでの生活を支えるための費用です。法律上の説明としては、親の子に対する扶養義務(民法877条1項)のうち、生活保持義務に基づくものと解されております。
離婚後も、親であることは変わらない以上、子どもに対する親の責任が法律上継続することから、親である限りは養育費の支払い義務が続きます。
そのため、再婚という事実だけで、養育費の停止や変更は認められないのが原則です。見直しを希望する場合は、相手方との合意や裁判所を通じた手続が必要です。

 


2 養育費を受け取る側が再婚した場合の影響

⑴ 子どもと再婚相手が養子縁組をした場合
再婚相手と子どもが法律上の親子関係を結ぶ(養子縁組)と、再婚相手に子どもを養う法的責任が発生します。このような場合、元配偶者が引き続き養育費を負担する必要があるのかについて再検討される余地が生まれます。
養子縁組が成立し、再婚相手が経済的にも子どもの生活を支えられる場合には、元配偶者の養育費が減額又は免除される可能性があります。

⑵ 養子縁組がされていない場合
養子縁組をしていない場合、再婚相手は法的に子どもを扶養する立場にはなく、原則として養育費は今まで通り必要です。ただし、同居や扶養控除の有無など、家庭内の実態によっては見直しが検討される場合もあります。

 


3 養育費を支払う側が再婚した場合の影響

⑴ 新たな子どもが生まれた場合等
再婚相手を扶養する場合や再婚相手との間に子どもが生まれた場合、支払う側には新たな扶養責任が生じます。この結果、家庭全体の支出が増えることになれば、元配偶者の子との関係で養育費の減額が検討されることもあります
ただし、既に再婚相手の妊娠が分かっていた時点で養育費の取決めをしていた場合には、「事情の変更」(民法880条)があったものとは判断されず、減額が認められないこともあります。

⑵ 再婚相手の子どもと養子縁組をした場合
再婚相手の子ども(連れ子)と養子縁組をした場合、その子にも法律上の扶養義務が発生します。扶養すべき家族が増えれば、支出の増加が認められ、養育費の見直しにつながる可能性があります。

 


4 養育費を見直すときの手続と注意点

⑴ 話合いでの合意を目指す
まずは元配偶者との話合いを行います。双方が見直しに合意できれば、新たな内容を文書にまとめることとなります。特に養育費を受け取る側においては、強制執行認諾文言付の公正証書にしておくと万が一支払いが滞った場合に調停の申立てを改めて行うことなく強制執行ができるため安心です。

⑵ 話合いが難しい場合は調停へ
合意に至らなければ、家庭裁判所へ養育費減額調停を申し立てます。調停では、前回養育費を決定した段階から「事情の変更」があるかどうかが話し合われます。調停が不成立になれば、審判手続へ移行し、最終的には裁判所が判断を下します。

⑶ 再婚後の養育費の計算は複雑に
扶養家族の増加や家計の変化に応じた再計算は、双方に扶養家族がいる場合が多く、裁判所の公表する「養育費算定表」のみでは対応しきれないこともあります。双方再婚する場合や、双方共働きの場合もあり、そのような事案では計算も複雑になる場合が多く、専門家の助力が不可欠となる場面も多く見られます。

 


5 一方的な打切りが招くリスクとは
再婚を理由に、相手に無断で養育費の支払いを停止することは法的に認められていません
調停調書、審判や公正証書などで取決めをしている場合、合意なく支払いを止めると、強制執行によって給与差押えなどを受ける可能性があります。
また、再婚を伝えていなかったことを理由に過去の養育費の返還を求めても、基本的には認められません。取決めが変更されない限り、既存の義務は継続するとみなされるためです。

 


6 弁護士に依頼するメリットとは?
養育費の減額や支払い停止については、法律上の複雑な判断や証拠提出が必要になることが多いため、弁護士に相談することで多くのメリットがあります。

• 正確な法的判断と助言
再婚や扶養義務の内容を的確に整理し、裁判所で通用する主張を構築できます。

• 相手との交渉を代理で対応
感情的な衝突を避けながら冷静に話合いを進められます。精神的な負担を弁護士に肩代わりさせることができます。

• 調停や審判など法的手続きに対応可能
複雑な再婚後の養育費計算や、計算結果を踏まえた書類作成や資料提出も代行してもらえるため、安心して手続が進められます。

• 精神的な負担を軽減できる
専門家に任せることでストレスを大幅に軽減できる点も大きな利点です。

 


7 弁護士費用について
弁護士に依頼する際の費用は、事務所や案件内容によって異なりますが、一般的には以下の項目が発生します。
• 相談料:当事務所は初回30分相談料無料です。以降は30単位で発生。
• 着手金:依頼時に支払う基本料金です。
• 報酬金:解決時に得られた成果に応じて支払う成功報酬です。
• 実費:収入印紙代や郵便切手、資料取得費などの雑費です。
事案によっては分割払いが可能な場合もあります。当事務所の男女問題の報酬基準もご参照ください。
https://kl-o.jp/divorce/#00002

 


8 まとめ
再婚と養育費の関係について、受け取る側・支払う側の視点から以下の点をお伝えしました。
• 再婚そのものでは、養育費の支払義務や受け取る権利は消えません
• 養子縁組や扶養家族の増加などにより、金額の見直しが検討されることがあります
• 養育費の変更には当事者間の合意又は裁判所での手続が必要です
• 支払いを一方的に打ち切ると、強制執行などのリスクを伴います
• 複雑な事情がある場合には、弁護士への相談が有効です

再婚後の生活を円滑に進めるためにも、養育費の問題は早めに対処しておくことが大切です。法的な視点で正しく整理し、子どもにも自分にも安心できる環境を整えていきましょう。
お悩みの際は、まずはお気軽にお電話ください。


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