(令和8年5月13日、コラムを更新しました。)
「会社の従業員が会社の資金を着服したので告訴したい。」
「知り合いの会社の社長が会社を私物化しているので告発したい。」
横領、詐欺、背任といった犯罪の被害に遭い、刑事告訴・告発を検討されている方は少なくありません。
しかし、「何をどうすればよいのか分からない。」というお悩みもよく耳にします。
このコラムでは、刑事事件で被害に遭われた方のために、告訴・告発における弁護士の役割、手続の流れ、費用などについて詳しくご説明します。
【目次】
1 告訴・告発とは
2 告訴・告発までの流れ
3 告訴・告発にかかる期間
4 当事務所の告訴・告発に関する弁護士費用
5 告訴・告発を弁護士に依頼するメリット
1 告訴・告発とは
「告訴」とは
「被害者その他法律上告訴権を有する一定の者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示」(刑事訴訟法第230条)
「告発」とは
「犯人、告訴権者又は捜査機関等以外の第三者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示」(刑事訴訟法第239条)
とそれぞれ定義されます。
告訴と告発の違いは、その主体の違いに過ぎませんので、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求めたいとの意向をお持ちの方について、その方が
被害者であれば「告訴」
※法定代理人、被害者が死亡した場合の配偶者、直系親族、兄弟姉妹を含みます。
被害者以外の方であれば「告発」
の手続をとることになります。
告訴・告発が受理されると、検察官は、起訴、不起訴の処分結果を速やかに告訴人・告発人に通知する義務があります(刑事訴訟法第260条)。
また、検察官は、当該事件について不起訴処分をした場合に、告訴人・告発人から請求があれば、不起訴にした理由を告げなければなりません(刑事訴訟法第261条)。
告訴人・告発人は、不起訴処分に納得がいかない場合は、検察審査会に対して不起訴処分の当否の審査を請求することができます(検察審査会法第2条第2項)。
2 告訴・告発までの流れ
告訴・告発をスムーズに受理してもらうには、以下のプロセスが重要です。
⑴ 犯罪事実、証拠の整理
告訴・告発を捜査機関に速やかに受理してもらうためには、告訴・告発したい犯罪事実と、その犯罪事実を証明するための証拠を整理した上で捜査機関に持ち込むことが肝要です。
告訴・告発したい事実が犯罪として成立しない場合や、犯罪として成立するとしても、その犯罪事実を証明する証拠がない場合、捜査機関は、その告訴・告発を受理せず、仮に受理したとしても、その後、検察官において、その事実で被告訴人・被告発人を起訴する可能性は低いと言わざるを得ません。
したがって、告訴・告発をするに当たっては、まず、
実際に起きた出来事から、犯罪となる事実を拾い上げて整理し、
かつ、
それらの事実が証拠によって裏付けられているかを精査する
必要があります。
⑵ 捜査機関との協議
犯罪事実と証拠の整理ができたら、捜査機関(ここでは、管轄の警察署を想定してお話しします。)に告訴状案・告発状案と証拠を持ち込み、担当警察官と、告訴・告発の受理に向けた協議をします。
通常、1回目の持ち込みで告訴・告発が受理されることはまれで、捜査機関において告訴状案・告発状案の内容を確認し、証拠を精査した上で、告訴状・告発状の内容の修正や証拠の追加などを求められます。
⑶ 告訴・告発の受理とその後の判断
捜査機関とのやり取りを複数回繰り返し、捜査機関において受理が可能と判断した場合、告訴・告発は受理されます。
その後、警察で受理した告訴・告発事件は、検察官に送致され、検察官において、起訴又は不起訴の判断を下します。
告訴・告発が受理されれば、必ず起訴されると誤解される方もいるかもしれませんが、起訴・不起訴を決めるのはあくまで検察官であり、告訴・告発が受理されたことと検察官の処分とは本来無関係というべきです。
もっとも、警察において、告訴・告発を受理する場合、事前に担当検察官に相談していることも多く、担当検察官において、起訴が可能との心証を抱いた上で、告訴・告発の受理にゴーサインを出すことも多いため、結果的には、しっかりと犯罪事実と証拠を整理した上で受理された告訴・告発事件については、その後、検察官において起訴となる可能性も相対的に高くなるといえます。
3 告訴・告発にかかる期間
「告訴・告発には、どれくらいの期間がかかりますか?」というご質問は非常によくお受けします。
結論から申し上げますと、告訴・告発にかかる期間は、事案の複雑さ、証拠の収集状況、捜査機関の繁忙度など多くの要因に左右されるため、一概に「〇ヶ月で終わります」と断定することは困難です。
しかし、各段階における期間の目安を知ることは、今後の見通しを立てる上で重要です。
⑴ ご相談から告訴状・告発状の提出(事前相談)までの期間
弁護士にご相談いただいてから、事実関係の聞き取り、証拠の精査、そして告訴状・告発状を作成し、捜査機関に事前相談を持ちかけるまでの期間です。
- 比較的単純な事案:数週間~1ヶ月程度
被害が明確で、証拠も揃っているようなケースです。 - 複雑な事案:数ヶ月以上
多数の取引記録を分析する必要がある経済事犯(横領、背任など)や、多数の関係者がいる事案では、証拠の収集・整理だけで数ヶ月以上を要することもあります。
⑵ 捜査機関への提出から受理までの期間
作成した告訴状・告発状を捜査機関に提出し、正式に受理されるまでの期間です。
前述のとおり、一度で受理されることは稀で、捜査機関との協議や書面の修正、追加証拠の提出などを複数回行います。
- 目安:1ヶ月~数ヶ月程度
捜査機関が内容を慎重に検討するため、ある程度の期間を要します。弁護士が代理人として、法的論点を整理し、捜査機関と的確な協議を行うことで、この期間の短縮を目指します。
⑶ 受理から検察官の処分決定までの期間
告訴・告発が受理されると、本格的な捜査が開始されます。警察での捜査、検察庁への事件送致、そして検察官が起訴・不起訴の最終処分を決定するまでの期間です。
- 目安:数ヶ月~1年以上
受理後の捜査は、被疑者の取調べ、関係者からの事情聴取、各種捜査(差押えなど)など多岐にわたります。特に、被疑者が容疑を否認している場合や、複雑な事件では、捜査が長期化する傾向にあります。
このように、ご相談から最終的な処分が決定するまでには、全体として半年から1年、あるいはそれ以上の長期間を要することも珍しくありません。
告訴・告発は、長期的な視点で粘り強く進めていく必要がある手続といえます。
4 当事務所の告訴・告発に関する弁護士費用
当事務所では、告訴・告発のご依頼について、原則として以下の弁護士費用で承っております。
・ 着手金:40万円
・ 報酬金:30万円(告訴・告発が受理された場合)
このほか、被害回復のために、民事での対応が必要となるケースもございますので、併せて弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
5 告訴・告発を弁護士に依頼するメリット告訴・告発をスムーズに進め、確実に結果を出すためには、弁護士の関与が不可欠です。
⑴ 専門的な知識に基づいた対応告訴・告発は、犯罪の成立要件、成立要件を裏付ける証拠の取捨選択において、刑事法に関する高度の法的知識が求められます。
弁護士は、検察官や刑事裁判官の目線で物事を判断し、告訴状・告発状の作成から、警察との交渉、証拠収集のアドバイスまで一貫してサポートします。
⑵ 警察との円滑なコミュニケーション
警察は多忙なため、不十分な告訴状・告発状では、なかなか受理してもらえません。弁護士が代理人となることで、法的に整理された告訴状を作成し、警察との円滑なコミュニケーションを図ることが可能になります。
これにより、不必要なやり取りを減らし、早期の受理を目指せます。
⑶ 緻密な法的戦略の構築
告訴・告発は、犯人の処罰を求めるだけでなく、被害回復やレピュテーション回復といった目標を達成するための一つの手段にもなります。
弁護士は、告訴・告発の手続を通じて明らかになった事実を踏まえ、その後の民事訴訟なども見据えた緻密な法的戦略を立てることができます。
犯罪の被害に遭い、告訴・告発をご希望の方は、お一人で悩まずに、当事務所までお気軽にご相談ください。
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