「会社の従業員が会社の資金を着服したので告訴したい。」
「知り合いの会社の社長が会社を私物化しているので告発したい。」
刑事事件で被害に遭われた方などから、このようなご相談をいただくことがあります。
このコラムでは、告訴・告発における弁護士の役割などについてご説明します。
【目次】
1 告訴・告発とは
2 告訴・告発までの流れ
3 当事務所の告訴・告発に関する弁護士費用
4 告訴・告発を弁護士に依頼するメリット
1 告訴・告発とは
告訴とは、被害者その他法律上告訴権を有する一定の者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示です(刑事訴訟法第230条)。
告発とは、犯人、告訴権者又は捜査機関等以外の第三者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示です(刑事訴訟法第239条)。
告訴と告発の違いは、その主体の違いに過ぎませんので、捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求めたいとの意向をお持ちの方について、その方が被害者(法定代理人、被害者が死亡した場合の配偶者、直系親族、兄弟姉妹を含みます。)であれば告訴の手続をとることになり、被害者以外の方であれば告発の手続をとることになります。
検察官は、告訴・告発された事件について、起訴、不起訴の処分をしたときは、速やかにその旨を告訴人・告発人に通知しなければならず(刑事訴訟法第260条)、検察官は当該事件について不起訴処分をした場合に、告訴人・告発人から請求があれば、不起訴にした理由を告げなければなりません(刑事訴訟法第261条)。また、告訴人・告発人は、検察審査会に対して不起訴処分の当否の審査を請求することができます(検察審査会法第2条第2項)。
2 告訴・告発までの流れ
⑴ 告訴・告発を捜査機関に速やかに受理してもらうためには、告訴・告発したい犯罪事実と、その犯罪事実を証明するための証拠を整理した上で捜査機関に持ち込むことが肝要です。
告訴・告発したい事実が犯罪として成立しない場合や、犯罪として成立するとしても、その犯罪事実を証明する証拠がない場合、捜査機関はその告訴・告発を受理せず、仮に受理したとしても、その後、検察官においてその事実で被告訴人・被告発人を起訴する可能性は低いと言わざるを得ません。
したがって、告訴・告発をするに当たっては、まず、実際に起きた出来事から、犯罪となる事実を拾い上げて整理し、かつ、それらの事実が証拠によって裏付けられているかを精査する必要があります。
⑵ 犯罪事実と証拠の整理ができたら、捜査機関(ここでは、管轄の警察署を想定してお話しします。)に告訴状案・告発状案と証拠を持ち込み、担当警察官と、告訴・告発の受理に向けた協議をします。
通常、1回目の持ち込みで告訴・告発が受理されることはまれで、捜査機関において告訴状案・告発状案の内容を確認し、証拠を精査した上で、告訴状・告発状の内容の修正や証拠の追加などを求められます。
⑶ 捜査機関とのやり取りを複数回繰り返し、捜査機関において受理が可能と判断した場合、告訴・告発は受理されます。
その後、警察で受理した告訴・告発事件は、検察官に送致され、検察官において、起訴又は不起訴の判断を下します。
告訴・告発が受理されれば、必ず起訴されると誤解される方もいるかもしれませんが、起訴・不起訴を決めるのはあくまで検察官であり、告訴・告発が受理されたことと検察官の処分とは本来無関係というべきです。
もっとも、警察において告訴・告発を受理する場合、事前に担当検察官に相談していることも多く、担当検察官において起訴が可能との心証を抱いた上で告訴・告発の受理にゴーサインを出すことも多いため、結果的には、しっかりと犯罪事実と証拠を整理した上で受理された告訴・告発事件については、その後、検察官において起訴となる可能性も相対的に高くなるといえます。
3 当事務所の告訴・告発に関する弁護士費用
当事務所の告訴・告発の弁護士費用は、原則として、着手金40万円、告訴・告発が受理された場合の報酬金30万円で承ります。
そのほか、被害者としての民事上の対応を要する場合もあり、そのような場合は民事での対応も併せて弁護士にご相談されることをお勧めいたします。
債権回収事案の当事務所の弁護士費用は次のページをご参照ください。
https://kl-o.jp/debt/#saikenhiyou
4 告訴・告発を弁護士に依頼するメリット
これまで述べてきたとおり、告訴・告発については、犯罪の成立要件、成立要件を裏付ける証拠の取捨選択において、刑事法に関する高度の法的知識が要求される場合があり(要するに、判断権者である検察官・刑事裁判官の目線を持つ必要があります。)、捜査機関に確実に受理してもらい、かつ、起訴してもらうことを目指すのであれば、弁護士が最初から適切に関与することが必要不可欠です。また、告訴・告発により明らかになった経過を踏まえて、訴訟等による被害回復あるいは適切な広報活動によるレピュテーション回復を図る場合には、そのような目指すべき獲得目標との関係で緻密な法的戦略・裁判戦略を練ることが必要になる場合もあります。
告訴・告発をご希望の方は、当事務所までお気軽にご相談ください。
お電話でのお問い合わせ
平日9時~18時で弁護士が電話対応
※初回ご来所相談30分無料
☎︎ 03-5875-6124