企業に対する営業の許認可など,国や地方公共団体は,法律に基づく「処分」(法令に基づいて行政に認められた権限(公権力)を,国や地方公共団体が,国民や住民などに対して行使することをいいます。)という形で多くの行政事務を行っています。

例えば,国や都道府県が店舗などを開業するために営業の「許可」を行うことなども処分に含まれます。

今回の記事では,このような処分を争うための方法のひとつである行政不服審査(審査請求)について解説いたします。

目次

1 違法な行政活動の争い方―審査請求と行政訴訟

2 行政不服審査法に基づく審査請求のメリット・デメリット

3 おわりに

1 違法な行政活動の争い方―審査請求と行政訴訟

 現代社会では,身近なところでは市役所等の窓口業務から,警察による活動,公害の規制,廃棄物の収集運搬,道路の維持管理,各種施設運営の監督や生活保護などの福祉行政,果ては金融システムの安定に至るまで,私たちの身の回りには,「行政」による様々な規制やサービスが満ち満ちています。普段の日常生活では,裁判所などの「司法」よりも「行政」の方を身近に感じる方の方が多いのではないでしょうか。

このような「行政」による規制活動やサービスについては,それが法律に基づき適正に実施されている限りは,私たちの日々の生活を支え,豊かにしてくれる,なくてはならないものです。

しかしながら,昨今,行政においてもデジタル化の流れが加速しているものの,「行政」もあくまでも,人によって営まれるものである以上,事務的な誤りや,ひいては違法な行政活動がなされることもまた事実です。

このような違法な行政活動を争う手段としては,大きく次の2つがあります。

①「行政不服審査法」に基づく審査請求(行政機関で争う手続き)

②「行政事件訴訟法」に基づく行政訴訟(裁判所で争う手続き)

 行政不服審査法に基づく審査請求のメリット・デメリット

「行政訴訟」については,新聞などのメディアで取り上げられることも多いので,ご存じの方も多いかと思いますが,「審査請求」については,馴染みがない方が多いのではないかと思います。この「審査請求」は,行政機関で,違法な行政活動を争う手続きになります。

(手続きの詳細は,

東京都HP(https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/12houmu/huhukumousitate.html)や

神奈川県HP(https://www.pref.kanagawa.jp/docs/y8e/cnt/f534344/index.html)で解説されていますので,そちらをご覧ください。)

 この審査請求については,

 〇(裁判所での手続きと比較して)簡易迅速な救済が得られる

 〇(処分内容や事案にもよりますが)ご本人のみで行っていただくことも不可能ではない

〇申立て手数料がかからない

〇審査請求においては,行政機関側に代理人が就かないことから,行政機関側の弁明や意見陳述において率直な意見を聴くことができる場合がある

などのメリットが挙げられます。

他方,

〇(裁判所での手続きと比較して)行政機関での手続きであるため,中立性・公平性が希薄である

などのデメリットが挙げられます。

 

 おわりに

行政活動に関する法律は複雑なことが多く,また,どのような行政活動を行政機関や裁判所で争うことができるかなどについても難しい問題がございますので,分からない点やご不明な点がございましたら,当事務所にお気軽にお問合せください。


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