(令和8年5月14日、コラムを更新しました。)

「行政庁から営業許可取消処分がなされたが納得いかない。」
「聴聞の通知書が届いたが、どのように対応すればよいかわからない」

国や地方公共団体は、企業に対する営業の許認可など、法律に基づく「処分」(法令に基づいて行政に認められた権限(公権力)を、国や地方公共団体が、国民や住民などに対して行使することをいいます。)という形で多くの行政事務を行っています。

例えば、国や都道府県が店舗などを開業するために営業の「許可」を行うことなども処分に含まれます。

企業活動を行っていると、国や地方公共団体から営業の許認可などに関わる上記の「処分」を受けることがあります。

しかし、行政庁の判断が常に正しいとは限りません。事実誤認や法令解釈の誤り、あるいは裁量権の逸脱があるケースも存在します。

今回の記事では、こうした不当な処分を争うための手段の一つである「行政不服審査請求」について、その仕組みや流れ、メリット・デメリットを弁護士が解説します。

目次
1 違法な行政活動の争い方―審査請求と行政訴訟
2 行政不服審査請求の流れと期間
3 行政不服審査法に基づく審査請求のメリット・デメリット
4 行政問題に関する当事務所の弁護士費用
5 おわりに

 

1 違法な行政活動の争い方―審査請求と行政訴訟
現代社会では、身近なところでは市役所等の窓口業務から、警察による活動、公害の規制、廃棄物の収集運搬、道路の維持管理、各種施設運営の監督や生活保護などの福祉行政、果ては金融システムの安定に至るまで、私たちの身の回りには、「行政」による様々な規制やサービスが満ち満ちています。
普段の日常生活では、裁判所などの「司法」よりも「行政」の方を身近に感じる方の方が多いのではないでしょうか。
このような「行政」による規制活動やサービスについては、それが法律に基づき適正に実施されている限りは、私たちの日々の生活を支え、豊かにしてくれる、なくてはならないものです。

しかしながら、昨今、行政においてもデジタル化の流れが加速しているものの、「行政」もあくまでも、人によって営まれるものである以上、事務的な誤りや、ひいては違法な行政活動がなされることもまた事実です。

このような違法な行政活動を争う手段としては、大きく次の2つがあります。

  • 審査請求(行政不服審査法): 行政機関に対して見直しを求める手続
  • 行政訴訟(行政事件訴訟法): 裁判所に対して処分の取消し等を求める手続

審査請求と行政訴訟の違い(比較表)

項目

審査請求

行政訴訟(取消訴訟)

判断する機関

行政庁(審査庁)

裁判所

費用

原則無料

印紙代などの訴訟費用が必要

期間

比較的短い(数ヶ月~半年程度)

長い(1年~数年)

手続の厳格さ

書面審理が中心で簡易

口頭弁論など厳格な手続

対象

違法性 + 不当性

違法性のみ

基本的には、まず簡易迅速な「審査請求」を行い、それでも解決しない場合に「行政訴訟」へ移行するという流れが一般的ですが、事案によっては直ちに訴訟提起すべきケースもあります。

 


2 行政不服審査請求の流れと審査請求期間
行政不服審査請求は、原則として処分があったことを知った日の翌日から3か月以内に行わなければなりません。この期間を過ぎると、原則として争うことができなくなるため注意が必要です。基本的な手続きの流れは以下の通りです。

なお、この手続の中で必要に応じた申立て(執行停止の申立て、口頭意見陳述の申立て、書類の閲覧請求等)を行うことになります。

①審査庁に対する審査請求書の提出
処分通知書に審査請求書の提出先となる審査庁が記載されています。

②審理員の指名
公正な審査を行うため中立の審査庁の職員が指名されます。

③弁明書提出
処分庁から、処分庁の考えが記載された書面が提出されます。

④反論書の提出
審査請求人が処分庁の弁明書に反論します。

⑤審理員意見書の提出
審査請求書、弁明書、反論書等を踏まえて審査庁がすべき裁決に関する意見書が審理員から提出されます。

⑥行政不服審査会における調査審議・答申
審理員意見書等を踏まえて、学識経験者、弁護士等から構成される中立公正な行政不服審査会が調査審議を行い、審査庁に答申(審査庁がすべき裁決に関する意見)をします。

⑦裁決
審査庁は、行政不服審査会の答申書、審理員意見書等を踏まえて、裁決をします。裁決には以下の3種類があります。

  • 認容: あなたの主張が認められ、処分が取り消される。
  • 棄却: 処分は適法・妥当であるとして、訴えが退けられる。
  • 却下: 期間徒過など、形式的な不備により門前払いされる。

 

 

3 行政不服審査法に基づく審査請求のメリット・デメリット
「行政訴訟」については、新聞などのメディアで取り上げられることも多いので、ご存じの方も多いかと思いますが、「審査請求」については、馴染みがない方が多いのではないかと思います。この「審査請求」は、行政機関で、違法な行政活動を争う手続になります。業者にとっては非常に重要なツールです。

この審査請求については、次のようなメリットがあります。

〇(裁判所での手続と比較して)簡易迅速な救済が得られる(裁判に比べて手続きが早く、結論が出るまでの期間が短い傾向にあります。)

〇申立て手数料がかからない(裁判所に納める印紙代のような申立手数料がかかりません。)

〇審査請求においては、行政機関側に代理人が就かないことから、行政機関側の弁明や意見陳述において率直な意見を聴くことができる場合がある

他方、次のようなデメリットもあります。

〇行政機関での手続であるため、裁判に比べると中立性・公平性が希薄といえば希薄です。

 

 

4 行政問題に関する当事務所の弁護士費用
当事務所では、事業者・法人からの行政不服審査請求、行政訴訟に関するご相談を承っております。 具体的な費用体系については、以下のリンクからご確認いただけます。

事業者の行政問題

※事業者、法人からのお問合せのみ受け付けております。

 


5 おわりに
行政活動に関する法律は複雑なことが多く、また、どのような行政活動を行政機関や裁判所で争うことができるかなどについても難しい問題がございます。行政による処分は、企業の存続に関わる重大な問題です。「おかしい」と感じたら、諦める前にまずは専門家へご相談ください。

特に行政不服審査法には「処分を知った日の翌日から3か月」という厳格な期限があります。手遅れになる前に、お早めに当事務所までお気軽にお問い合わせください。



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