今回の記事では,婚姻費用・養育費について解説いたします。

目次

1 離婚等を検討する際に決めなければならないこと
2 婚姻費用
3 養育費
4 おわりに

1 離婚等を検討する際に決めなければならないこと

ご夫婦の間で,離婚や別居を検討する際には,そもそも離婚をするかどうかという前提問題に加え,離婚をご決意された場合にも,そのほかに親権,面会交流,婚姻費用,養育費,財産分与,慰謝料,年金分割といった事柄を決めていく必要があります。

また,これらの事柄を決めていく際に取るべき適切な手続(ご夫婦の間での話し合い,弁護士が代理人となる話し合い,裁判所での調停,審判,離婚訴訟)についても考える必要があります。

これらの事柄のなかでも,離婚・別居を検討し始めた当初から切実な問題となるのが,やはり婚姻費用・養育費の問題なのではないかと思います。

そこで,今回の記事では,この婚姻費用・養育費について解説いたします。

2 婚姻費用

婚姻費用とは,夫婦が結婚生活をしていくために必要な費用のことをいい,夫婦はお互いにこの婚姻費用を分担する義務があります(離婚前は,婚姻費用にお子様の養育費も含まれることになります。)。

そして,民法上は,この婚姻費用の分担をどのように決めるべきかについて,「その資産,収入その他一切の事情」を考慮するとしています。

このように,民法上は,①資産,②収入,③その他一切の事情の3つが考慮する事情として挙げられているのですが,婚姻費用は,生活のためのお金として早く適切に決める必要がありますので,ご夫婦での話し合いや裁判所での手続においても,ご夫婦の収入(年収)に着目して,お仕事(自営か給与所得者か)やお子様の人数・年齢に応じてある程度定型的な形で定められた「算定表」を参考に,適切な婚姻費用を決めていくことになります。

(参考:https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html)

もっとも,算定表は定型的な形で定められていますので,適切な婚姻費用を定めるにあたっては,算定表がどのような事情をあらかじめ考慮しているかを踏まえたうえで,さらに考慮すべき事情がないかを検討することが必要な場合もあり,「算定表」があるからといって一筋縄ではいかない事案も多く見受けられるところです。

例えば,①自営業・年金生活者の収入をどのように考えるか,②ご夫婦が互いにお子様と同居している場合の費用分担をどのように考えるか,③夫が別居後もローンの支払いを受けている場合に,そのローンの支払いをどのように考えるか,④お子様が4名以上いる場合の養育費をどのように考えるか,⑤お子様を私立学校に通わせる場合の費用負担をどのように考えるか,などといったことが問題となる事案が見受けられるところです。

なおこれらの事柄は,養育費についても同様に問題となる場合がございます。

3 養育費

養育費とは,お子様の監護に要する費用をいい,親権の有無にかかわらず,両親はこの養育費を分担すべき義務があります。

そして,民法上は,この養育費の分担をどのように決めるべきかについて,「子の利益」を最も優先して考慮しなければならないとされています。

もっとも,養育費についても,婚姻費用と同じように,生活のためのお金として早く適切に決める必要がありますので,ご夫婦での話し合いや裁判所での手続においても,先ほどの「算定表」を参考に,適切な養育費を決めていくことになります。

この場合も算定表は定型的な形で定められていますので,適切な養育費を定めるにあたっては,さらに考慮すべき事情がないかを検討することが必要な場合もあり,これまた「算定表」があるからといって一筋縄ではいかない事案も多く見受けられるところです。

4 おわりに

婚姻費用・養育費については「算定表」が定められており,裁判実務上も算定表を参考にすることとなりますが,算定表を踏まえたうえでさらに検討すべき難しい問題がある場合もございますので,分からない点やご不明な点がございましたら,当事務所にお気軽にお問合せください。

以上


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