「行政庁から営業許可取消となる見込みであると告げられた。」

「予定される不利益処分の内容・根拠法令、不利益処分原因事実、聴聞の期日・場所が記載された通知書が届いたがどうすればよいか。」

 

このようなご質問は、多くのお客様から多く寄せられる質問です。

 

 

今回の記事では、行政手続のうち、「告知聴聞」(こくちちょうもん)と呼ばれる手続について解説いたします。

 

 

【目次】

1 不利益処分とは

2 行政手続法等における事前手続き―告知聴聞の機会の付与

3 「告知聴聞の機会」の種類

4 聴聞手続の内容・流れ

5 弁明の機会の付与の内容・流れ

6 おわりに

 

1 不利益処分とは

行政機関が行う行政活動の中でも、いわゆる許認可の取消しに代表される不利益処分は、事業者等の営業活動に直接影響を及ぼす重大な行政行為です。

この不利益処分とは、行政庁が、法令に基づき、特定の者を名宛人として、直接に義務を課し、又はその権利を制限する処分をいいます。要するに行政機関から与えられていた権利をはく奪されるような処分のことをいいます。

 

2 行政手続法等における事前手続き―告知聴聞の機会の付与

新聞・ニュースなどでは、このような不利益処分に対し、「裁判所に処分の取り消しを求める訴訟を提起した。」などと裁判がはじまるタイミングでの報道がなされますが、行政手続法では、不利益処分が与える重大性に配慮して、原則として不利益処分がされる事前のタイミングで、「告知聴聞の機会」が付与されることが一般です。

「告知聴聞」とは、なかなか聞き慣れない言葉かとは思いますが、要するに、不利益処分をする前には、事業者等の言い分をしっかりと聴き、不利益処分をするかしないか、不利益処分をするとしてどのような内容とするかなど適正な不利益処分をフェアに行うためのルール(手続)のことをいいます。

 

3 「告知聴聞の機会」の種類

この「告知聴聞の機会」には、行政機関が課そうとする不利益処分の内容等に応じて、①聴聞(行政手続法13条1項1号)と②弁明の機会(行政手続法13条1項2号)の付与という二種類が用意されています。

聴聞と弁明の機会の付与との区分は、処分による不利益の度合いに応じて、手続に軽重をつけるためのものです。

聴聞は、弁明の機会の付与以上に、より厳格で丁寧な手続であり、許認可の取消し等不利益の大きいものについてとられる手続であり、弁明の機会の付与は、略式の手続であり、比較的不利益度の小さい処分についてとられるものです。

 

4 聴聞手続の内容・流れ

⑴ 通知書の到着

聴聞手続では、まず予定される不利益処分の内容・根拠法令、不利益処分原因事実、聴聞の期日・場所が記載された通知書が届きます。

⑵ 意見の準備・提出

その後、不利益処分が課される予定であるとされている事業者等は、聴聞が開かれる日時までに、意見書・証拠を提出して、不利益処分原因事実などの事実関係や法令解釈に関する意見を主張することになります。

⑶ 聴聞当日

聴聞手続当日は、聴聞を主宰する職員の関与のもと、不利益処分をする行政機関の職員からの説明、事業者等の口頭による意見陳述・質問などがなされることになります。

⑷ 聴聞後の手続

聴聞を主宰する職員は、聴聞手続の経過を記載した聴聞調書及び不利益処分原因事実に係る不利益処分をする行政機関の職員・事業者の主張に理由があるかどうかを記載した報告書を作成します。

これを行政庁(処分権限を有する市長など)に提出し、行政庁はこの報告書を十分に参酌して、不利益処分をするかしないか、不利益処分をするとしてどのような内容とするかを決めなければなりません。

 

5 弁明の機会の付与の内容・流れ

⑴ 通知書の到着

弁明の機会は、まず予定される不利益処分の内容・根拠法令、不利益処分原因事実、弁明書の提出先・提出期限が記載された通知書が届きます。

⑵ 弁明書の準備・提出

その後、不利益処分が課される予定であるとされている事業者等は弁明書を提出することで言い分を主張することになります。

このように、弁明の機会は、行政庁が口頭ですることを認めたときを除き、書面の提出によって行われ(行政手続法29条)、文書閲覧権も認められていない等、聴聞に比べて略式の手続です。

 

6 「告知・聴聞」への対応に関する弁護士費用

弁護士費用は、法律相談料、着手金、報酬金、実費等に大きく分けられます。

法律相談料の相場は、30分5500円(税込)程度です。当事務所では、初回30分は無料で、それ以降は30分ごとに5500円(税込)をいただいております。

着手金は、事件のご依頼を受けて活動をする最初にいただく費用で、事件の結果によって金額が変わることのない費用です。当事務所では、ご依頼から3営業日以内にお支払いいただくこととなります。

「告知・聴聞」の弁護士費用は、予想される不利益処分の内容などにより重要性・緊急性もまちまちですので一概に申し上げることは難しいですが、着手金として最低税込33万円は頂戴することになろうかと思います。

報酬金は、事件の終了時にお支払いいただく費用のことで、「告知・聴聞」の結果次第でこちらの報酬金は変わります。この結果も、不利益処分の回避から不利益処分の低減までさまざまですので一概に申し上げることは難しいところではございますが、不利益処分の回避・低減ができた場合には、報酬金として最低税込33万円は頂戴することになろうかと思います。

実費等は、交通費や郵便切手代などの実際にかかった費用のほか、聴聞期日に出席した場合の日当や証拠資料を弁護士の職権で請求した場合の手数料が含まれます。こちらについては、当事務所では、実費等一覧表としてかかる実費を契約前にすべてお示ししております。当事務所では実費一覧表に記載のない実費等は一切いただいておりません。

 

 おわりに

「行政争訟」というと、行政訴訟などの裁判を思い浮かべがちですが、時間も費用もかかる裁判沙汰になる前に不利益処分を回避し、あるいは軽減できるに越したことはありません。

そのため「告知聴聞」はあまり知られてはいない手続かもしれませんが、事前の防御の機会として非常に重要ですし、不利益処分がなされることを回避できなかったとしても、「告知聴聞」の中で行政庁が把握している情報を文書等の閲覧請求で取得し、のちの裁判に備えることができるという意味でも大切です。

そして、このような「告知聴聞」を活かすためには、個別行政法・行政判例を理解し、あるいは理解できる専門家である弁護士の関与を検討した方が良いことが多いものと思います。

万が一、聴聞通知書・弁明の機会付与の通知書が届いた場合には、まずはお気軽にご相談いただければと思います。

 

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