「支払督促が届いたのですが、どう対応すればよいですか。」

「消滅時効が完成した後に支払督促が届きました。放置してもよいでしょうか。」

このようなご質問は、多くのお客様から多く寄せられる質問です。

このコラムでは、支払督促の手続きと対応方法を消滅時効と絡めて解説します。

 

【目次】

1 支払督促とは

2 支払督促の流れとその対応方法

3 支払督促を放置するとどうなるか

4 消滅時効完成後に支払督促が届いた場合(発展)

5 支払督促への対応を弁護士に依頼するメリット

6 当事務所の弁護士費用

7 おわりに

 

1 支払督促とは

借金の返済を滞納し続けていると、裁判所から支払督促が届くことがあります。
「支払督促」とは、消費者金融などの債権者の申立てにより、簡易裁判所の書記官が債務者に対して金銭の支払いを督促する手続きです(民事訴訟法382条)。
支払督促が届いて放置していると、財産の差押えがなされる可能性があります。そのため、支払督促を受け取った場合、必要があれば督促異議申立てを行い、しっかりと対応することが重要です。特に、借金に覚えがない場合や消滅時効が完成している場合には、督促異議申立てを行うべきです。
以下では、支払督促の流れとその対応方法などについて解説します。
 

2 支払督促の流れとその対応方法

⑴ 支払督促の流れ
支払督促の大まかな流れは以下のとおりです。
① 債権者が、簡易裁判所の書記官へ支払督促の申立てを行う(民事訴訟法383条1項)
② 債務者のもとに「通常の支払督促」が届く(民事訴訟法388条1項)。
③ 債務者が①を受け取ってから2週間以内に督促異議の申立てを行わないと、債権者は判決が確定する前に強制執行をすることができる効力の付与を求める仮執行宣言の申立て(民事訴訟法391条1項)を行う。
④ 債務者のもとに「仮執行宣言付支払督促」が届く(民事訴訟法391条2項)。
⑤ 債務者が④を受け取ってから2週間以内に督促異議の申立てを行わないと、仮執行宣言付支払督促が確定する(民事訴訟法396条)

⑵ 支払督促の対応方法
支払督促は、2回に分けて債権者へ送達され(上記②と④)、それぞれのタイミングで異議申立てを行うことができます。 この異議申立ては、「督促異議申立て」(民事訴訟法386条2項)といいます。
「通常の支払督促」(上記②)の異議申立ては、送達後から支払督促失効(民事訴訟法392条)までの期間に行う必要があります。つまり、「通常の支払督促」の送達後、仮執行宣言の申立て(上記③)がなかった場合は、「通常の支払督促」を受領した日の翌日から起算して44日間は督促異議の申立てが可能です。
また、「仮執行宣言付支払督促」(上記④)の異議申し立ては、同支払督促を受領した日の翌日2週間以内に行う必要があります(民事訴訟法393条)。督促異議申立ては、送られてくる支払督促に督促異議申立書が基本的に同封されていますので(同封されていない場合は裁判所の窓口でもらうことができます)、これに当事者、事件番号、事件名、督促に異議がある旨(異議の理由は不要です)、作成年月日、裁判所名を記載し、記名押印をして裁判所へ提出します。また、電話による督促異議申立ては認められていません(民事訴訟規則1条2項)。
なお、適法な督促異議の申立てを行うと、支払督促に係る請求について自動的に訴訟に移行することになり(民事訴訟法395条)、この訴訟の中で具体的な異議について主張していくことになります。

 

3 支払督促を放置するとどうなるか

結論から申し上げると、債権者によって、給与の一部や預貯金などの財産について、差押えの強制執行をされる可能性があります。
強制執行とは、任意に支払いをしない人に対して、強制的にお金を回収する手続きです。
この強制執行を行うためには、通常、訴訟を起こして勝訴し、債務名義を取得する必要があります。この債務名義とは、平たく言うと、権利を強制的に実現してもよいことを裁判所が許可した文書となります(民事執行法22条各号)。
もっとも、「仮執行宣言付支払督促」も債務名義の一つです(民事執行法22条4号)。そのため、「通常の支払督促」(前記2⑴②)を受け取ってから2週間以内に異議(同③)を申し立てず、その後「仮執行宣言付支払督促」(同④)が届いた場合、送達から2週間(同⑤)を待つまでもなく債権者は強制執行をできる状態になります(民事執行法25条但書)。

 

 消滅時効完成後に支払督促が届いた場合(発展)

借金について消滅時効が完成した後に、消費者金融などの債権者から支払督促が届くことがあります。なぜ時効にもかかわらず訴訟を提起するのか疑問に思われるかもしれませんが、消滅時効は「援用」(民法145条)しなければ効力が発生しないため(最高裁昭和61年3月17日第三小法廷判決)、請求ができてしまうのです。
では、この場合、「仮執行宣言付支払督促」を受け取ってから2週間以内に督促異議を行わず、仮執行宣言付支払督促が確定してしまったとき、もはや消滅時効の援用はできないのでしょうか。 このケースで、消滅時効を援用するにあたって問題となることは次の二点です。

① 支払督促が確定したことにより、消滅時効につき「時効の更新」(新民法147条1項2号、同条2項)又は「時効の中断」(旧民法147条1号)が生じ、もはや時効の援用をできないのではないか。

② 確定した支払督促は確定判決と同一の効力があるため(民事訴訟法396条)、確定後の時効の援用は、前の確定裁判でその目的とした事項に関する判断につき、当事者は後の裁判で別途争うことができない効力である「既判力」により許されないのではないか。

この二点について判断した裁判例(宮崎地判令和2年10月21日)があります。
この裁判例は、①と②につき、次のとおりに判断しました。

①につき、「時効が完成した後に・・・民法147条各号(注 旧民法の時効中断事由)が生じても、時効が中断することはない」

②につき、「本件仮執行宣言付支払督促は、これが確定した後でも既判力がない以上、この確定前に完成した本件貸金債権の消滅時効を援用することにより、本件貸金債権が確定的に消滅する」

このように、支払督促確定前に消滅時効期間が経過しているなど一定の事情のもとで支払督促確定後における消滅時効の援用を認める裁判例があるため、もしそのような事態に陥った場合でも、争う余地はあると考えられます。

 

5 支払督促への対応を弁護士に依頼するメリット

⑴誤りなく法的手続を迅速・確実に進めることができる
既に解説したとおり、支払督促が届いた場合は迅速に対応しないと財産の差押えをされる可能性があります。また、督促異議を申し立てると訴訟に移行するため、訴訟対応を行う必要があります。 弁護士に依頼することで、督促異議の対応から訴訟追行まで迅速・確実に進めることができます。

⑵支払督促の請求への返済が難しい場合、債務整理を行うことができる
支払督促が届いたものの、返済が困難な場合は債務整理を検討する必要があります。
債務整理とは、借金の減額、減免の手続きや長期の分割払いについての交渉のことです。債務整理の手段を大きく分けると、任意整理、個人再生、自己破産の3つです。
弁護士に依頼することで、支払督促で請求されている額を踏まえ、適切な手段で借金へのアプローチが可能となります。

 

6 当事務所の弁護士費用

 ①督促異議申立てを行って訴訟対応する場合

訴訟

着手金

報酬金

請求額300万円以下
請求額の8.8%(最低26.4万円)

減額額300万以下
減額額の22%(最低33万円)

請求額300万円~3000万円
請求額の5.5%+9.9万円

減額額300万円~3000万円
減額額の13.2%+26.4万円

請求額3000万円~3億円
請求額の3.3%+75.9万円

減額額3000万円~3億円
減額額の8.8%+158.4万円

請求額3億円以上
請求額の1.1%+369.6万円

減額額3億円以上
減額額の4.4%+1478.4万円

 

②支払が困難で債務整理を行う場合

任意整理

着手金

報酬金

5万5000円×借入業者数

 2万2000円×借入業者数 + 減額金額の11%

※時効の援用は1債権者5万5000円で承ります(時効援用により借金が消えた場合も、別途の報酬金は頂きません。)
※着手金の分割払い(月額5万5000円~)も承ります。

 

個人再生

着手金

報酬金

住宅ローン特例なし

33万円

11万円

住宅ローン特例あり

44万円

 16万5000円

※着手金の分割払い(月額5万5000円~)も承ります。
※別途裁判所の費用として20万円程度が必要となります。

 

自己破産

着手金

報酬金

同時廃止手続の場合

27万5000円

同時廃止手続の場合 
11万円

管財手続の場合

38万5000円
個人事業主の場合
49万5000円

 管財手続の場合 
5万5000円 

※着手金の分割払い(月額5万5000円~)も承ります。
※管財手続となった場合、別途裁判所の費用として20万円程度が必要となります。

 

7 おわりに

支払督促が届いた場合は、督促異議申立て期間が2週間と短いため、どう対応していくのか迅速に判断する必要があります。また、もし督促の債権以外にも借金がある場合は、その他の借金を含む全体の解決を一度検討してみることも有意義といえるかもしれません。
借金や支払督促が届いて少しでもお悩みの際は、当事務所でお力になれる可能性がありますので、まずはお気軽に弁護士までご連絡いただければと思います。

 

お電話でのお問い合わせ

平日9時~18時で弁護士が電話対応 

初回ご来所相談30分無料

☎︎ 03-5875-6124