「交際していた(している)男性との間に子どもが生まれたのですが、相手が認知に応じません。強制的に認知させることはできますか。」

「強制認知の手続きの流れを教えてください。」

 

このようなご質問は、多くのお客様から寄せられる質問です。

このコラムでは、強制認知について弁護士がやさしく解説いたします。

 

【目次】

1 認知の基礎知識

2 強制認知とその流れ

3 強制認知に関する当事務所の弁護士費用

4 おわりに

 

1 認知の基礎知識

⑴ 認知とは?

認知とは、婚姻関係にない男女の間に生まれた子(婚外子)について、子と父親との間に法律上の親子関係を成立させる制度です。
婚姻関係にある男女の間に生まれた子は、夫の子であると推定されます(民法772条1項・2項、いわゆる「嫡出推定」と呼ばれるものです。)。
もっとも、婚外子については夫の子であると推定する規定がありません。そのため、婚外子はそのままでは法律上の父親が誰なのかを特定することができず、法律上の親子になるためには、認知が必要となります。

⑵ 認知するとどうなるの?

認知がされると、婚外子と父親との間に法律上の親子関係が発生します。
この法律上の親子関係が発生する結果として重要なポイントは、次の2点です。

  • 子が父親の法定相続人となる(民法887条1項)
  • 父親が子を扶養する義務を負うことになる(民法877条1項)

 

2 強制認知とその流れ

子の父親が任意に認知してくれるとよいのですが、認知に合意してくれない場合、裁判所の手続(認知調停・認知の訴え)により、父親に対して認知を求めることができます。これを強制認知といいます。
以下では、強制認知の流れをお伝えいたします。

任意認知とは
任意認知とは、子の父親が自分の意思で子を認知することを言います。
任意認知の方法は、①市区町村役場への認知届の提出、②遺言による任意認知の2つがあります。
認知調停が継続している場合でも、父親が子との親子関係を特段争っていない場合には、父親に任意認知を求めることはよくあります。
この求めに応じ、父親が任意認知をした場合は、認知調停を取り下げることになります。

⑴ 認知調停を申し立てる

まず、認知の訴えを提起する前に家庭裁判所に認知調停を申し立てます(これを調停前置主義(家事事件手続法257条1項)といいます)。
調停の中で話し合いを行い、認知についての合意を目指します。
話し合いの結果、父親が認知について合意した場合、家庭裁判所が必要な事実の調査を行い、その合意が正当と判断すれば、合意に相当する審判(家事事件手続法277条)がなされます。
この審判が確定すると、認知の効力が生じます。

合意に相当する審判とは
調停は、当事者間の話し合いであるため、当事者が合意すればその合意内容に従った調停が成立するのが通常です。
もっとも、認知は、子の父親を決定する重要な手続きであるため、当事者間が自由に合意して決めるべきものではありません。本来は、認知訴訟という厳格な手続きの中で子の父親が決定されるべき性質があります。
そこで、認知調停では、当事者間の合意に加え、家庭裁判所が事実について調査を行い、その合意が正当なものと判断した場合は、合意に相当する審判を行います。
このように、認知調停では、裁判官が認知の判断に関与します。

なお、上記の事実の調査の内容としては、調停委員と裁判官から、当事者に対し、懐胎可能期間の母親と父親の性交渉の有無や生活状況、母親の妊娠及び出産後の父親の言動、当事者と子の血液型等のヒアリングが行われます。
また、上記ヒアリングに加え、DNA鑑定が行われることも多いです。このDNA鑑定の費用(一般的に5万~10万円です)については、原則として調停の申立人が負担することになります。

⑵ 認知の訴えを提起する

認知調停が不成立になった場合、認知の訴えを提起します。 調停とは異なり、認知の訴えでは生物学的父子関係の存在について、主張立証を行っていくことになります。
現在の実務では、DNA鑑定で生物学的親子関係はほぼ把握できるとされていますが、問題は、被告が鑑定に応じない場合です。
この場合は、子の母と被告との間に性交渉があったこと、血液型、人類学的データ(指紋、顔貌など)、認知的行動(父らしい行動)などから生物学的親子関係の存在を立証していくことになります。
認知訴訟で勝訴の判決が確定することにより、出生時に遡って法律上の父子関係が発生することになります(民法784条)。

⑶ 認知届を提出する

⑴の審判確定日または⑵の判決確定日から10日以内に、認知調停の申立人・認知訴訟の原告が、認知届出を提出する必要があります(戸籍法63条1項)。

 

 強制認知に関する当事務所の弁護士費用

認知

 

着手金

報酬金

協議

(交渉)

22万円

22万円

調停

33万円

※協議(交渉)から調停に移行した場合は追加着手金22万円で承ります。

33万円

訴訟

44万円

※協議(交渉)・調停から訴訟に移行した場合は追加着手金33万円で承ります。

44万円

 

4 おわりに

今回は強制認知について解説をいたしました。子の父親が任意に認知をしない場合、強制認知という手段を採る必要があります。特に認知の訴えで父親がDNA鑑定を拒否した場合は、証拠を集め、生物学的父子関係の存在を裁判官に認めてもらう必要があります。
認知でお悩みの際は、当事務所でお力になれる可能性がありますので、まずはお気軽に弁護士までご連絡いただければと思います。



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