今回の記事では、国の機関等に対する情報公開制度等を通じた資料・証拠収集について解説いたします。

 

【目次】

1 はじめに

2 国の機関等による公表情報

3 行政機関の保有する情報の公開に関する法律・個人情報保護法・情報公開条例に基づく情報公開請求

4 行政手続法、行政不服審査法に基づく閲覧等請求

5 情報公開請求等の弁護士費用(手数料)

 

 

1 はじめに

行政争訟はもちろんのこと、民事訴訟などの民事紛争においても信頼出来る資料・証拠により裏付けることが可能な法的主張を的確に組み立て、適時適切な立証活動をしていくことがきわめて重要になります。
このような資料・証拠の収集手段(立証活動)は、ご依頼者の手元にあるものだけでは、十分であるとはいえないことも多くみられ、手元資料の確認に留まらず、利用可能な収集手段を弁護士とともに積極的・能動的に検討することが必要となります。
そして、昨今の行政機関における説明責任原則(アカウンタビリティ原則)、知る権利・自己情報コントロール権、EBPM(証拠に基づく政策立案)といった考え方が広まるのと軌を一にして、国の機関等ではさまざまな情報公開制度・権利救済制度を定めた法律が制定されており、これらの情報公開制度・権利救済制度を使いこなして資料・証拠収集を行う必要性が高まっています。

 

2 国の機関等による公表情報

まず、国の機関、地方公共団体においては、情報公開「請求」するまでもなく、次のようにウェブサイトやデータベースにおいて誰でも見ることが出来る形で公表されている情報が数多くありますのでまずは調査のとっかかりとしてこれらに当たってみることも有益です。これらは無料で利用できるものがほとんどです。

  • e-Govポータル
  • 国会会議録検索システム
  • インターネット版官報
  • e-Stat(政府統計の総合窓口)
  • 行政不服審査裁決・答申検索データベース
  • RESAS(地域経済分析システム)
  • EDINET(金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム)
  • 国土地理院の地理院地図、地図・空中写真閲覧サービス
  • 裁判所データブック(裁判所ウェブサイト内)
  • 各地方公共団体の議事録検索システム
  • 各地方公共団体の例規検索システム
  • 各地方公共団体の所管課ウェブサイト
  • 各種審議会の議事録、議事資料、答申書(報告書)

 

3 行政機関の保有する情報の公開に関する法律・個人情報保護法・情報公開条例に基づく情報公開請求

前記2のように既に公表されているもののほか、情報公開法・個人情報保護法・情報公開条例に基づく情報公開請求を行うことにより、有益な資料が得られることも多くあります。
情報公開法・個人情報保護法・情報公開条例において手続きを行うことになる実施機関は情報提供に努めることとされているため、いきなりピンポイントで有利な資料の取得を目指すのではなく、まずはどのような行政文書があるかも含めて、担当部署と折衝することも有益です。
具体的には、
① 請求者の氏名・住所、行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項を記載した請求書を作成し、情報公開を担当する部署にこの請求書を郵送・FAXなどで提出することになります。請求書のひな形はWEBサイトに掲載されていることが多いです。

② この開示請求を受け、担当部署が不開示情報の有無・マスキングの要否などを検討の上、開示決定通知書が届くことになります。

③ その後、この開示決定通知書等に記載されている手数料・費用を納め、開示を受けることになるのが一般的な流れです。

 

4 行政手続法、行政不服審査法に基づく閲覧等請求

既に何らかの不利益処分がなされるに向けて行政手続法の聴聞手続が開催される場合や、既になされた不利益処分につき行政不服審査法の審査請求で争っている場合は、閲覧等請求をすることで証拠資料を収集することができます(行政手続法第18条、行政不服審査法第38条)。
具体的には、聴聞手続あるいは審査請求手続において、資料の閲覧等請求を求める文書を提出することになります。
なお、聴聞手続の流れについては、次のコラムもご参照ください。→https://kl-o.jp/2022/10/31/%e8%81%b4%e8%81%9e%e3%82%84%e5%bc%81%e6%98%8e%e3%81%ae%e6%a9%9f%e4%bc%9a%e3%81%ae%e4%bb%98%e4%b8%8e%e3%81%ae%e9%80%9a%e7%9f%a5%e3%81%8c%e3%81%8d%e3%81%9f%e3%82%89%e3%81%a9%e3%81%86%e3%81%99%e3%82%8c/

 

5 情報公開請求等の弁護士費用(手数料)

以上の手段を用いて収集した資料・証拠に基づき、行政争訟等において法的主張を的確に組み立て、適時適切な立証活動をしていくことになります。
当事務所では、民事紛争・行政争訟などの個別の事件をご依頼いただいたうえで、情報公開請求等を行うことになります(情報公開請求等単体でのご依頼は基本お受けしておりません。)。この場合は、情報公開請求等実施することになる手続の内容や求める文書の内容などにもよりますが、実費のほか、手数料として1件当たり原則2万円程度を頂くことになります。

 

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