離婚や別居を考え始めたとき、最も切実な不安となるのが「これからの生活費(婚姻費用)」と「子どもの将来のための大切なお金(養育費)」ではないでしょうか。
「裁判所のホームページで公開されている算定表を見れば金額はすぐわかる」と思われがちですが、実は実務では算定表だけでは解決できないケースが多々あります。
本記事では、後悔しないために知っておくべき婚姻費用と養育費の基礎知識と、金額が左右される重要なポイントを解説します。

目次
1 離婚・別居時に決めるべき「お金」と「子ども」のこと
2 婚姻費用:別居中の生活を支える権利
  算定の仕組み
3 養育費:子どもの利益を守るための費用
4 【重要】算定表だけでは解決できない「よくある紛争例」
5 最後に:一人で悩まず専門家へ相談を

1 離婚・別居時に決めるべき「お金」と「子ども」のこと

パートナーとの別居や離婚を検討する際、決めるべきことは多岐にわたります。

  • 子どもに関すること: 親権、面会交流、養育費
  • お金に関すること: 婚姻費用、財産分与、慰謝料、年金分割
  • 手続の選択: 協議(話し合い)、交渉、調停、審判、訴訟

特に別居直後から必要になる「婚姻費用」は、スピード感と正確な算定の両方が求められる非常に重要な項目です。

2 婚姻費用:別居中の生活を支える権利

婚姻費用とは、夫婦が結婚生活をしていくために必要な費用のことをいい、夫婦はお互いにこの婚姻費用を分担する義務があります(離婚前は、婚姻費用にお子様の養育費も含まれることになります。)。

ポイント: 法律上、夫婦には「自分と同じレベルの生活を相手にも保障する義務(生活保持義務)」があります。そのため、年収が高い側は、低い側に対して別居中であっても生活費を支払う義務があります。

算定の仕組み

実務では、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」(※)を基準にします。
(※ 参考 算定表 養育費・子1人表(子0~14歲))

これは「双方の年収」「仕事の形態(給与所得か自営か)」「子どもの人数と年齢」を当てはめて簡易的に金額を算出する仕組みです。
しかし、この算定表はあくまで「標準的なケース」を想定したものです。以下のような場合は、個別具体的な修正(加算や減額)が必要になる場合もございます。

  • 住宅ローンの支払い: 義務者(支払う側)が自宅を出て、残された家族が住む家のローンを払い続けている場合。
  • 私立学校の学費・塾代: 算定表では公立校の学費のみを想定しているため、高額な教育費をどう分担するか。
  • 特別な医療費: 持病の治療費や介護費用など、予測できない大きな支出がある場合。
  • 高所得者の場合: 夫婦合算の年収が算定表の上限(2,000万円)を超える場合。

3 養育費:子どもの利益を守るための費用

養育費とは、お子様の監護に要する費用をいい、親権の有無にかかわらず、両親はこの養育費を分担すべき義務があります。
これは「親の権利」ではなく、「子どもの権利」として、親権の有無に関わらず分担する義務があります。
婚姻費用と同様に算定表をベースに協議しますが、「子の利益を最優先する」という観点から、将来的な事情も踏まえて合意しておくことが大切です。

4 【重要】算定表だけでは解決できない「よくある紛争例」

実は、多くの方が悩まれるのは前述したような「算定表に当てはまらない事情」がある場合です。
算定表はあくまで目安に過ぎません。実際には以下のような複雑な事情が絡み合い、主張の仕方ひとつで受け取れる(支払う)金額が大きく変わることがあります。

  • 自営業者の適正な年収: 確定申告書上の所得が、実際の支払能力と乖離(経費の算入など)している場合。
  • 子どもが4人以上いる場合: 算定表の枠外となるため、複雑な計算式を用いる必要があります。
  • 別居親が子どもを一部監護している: 兄弟で住む場所が分かれている場合などの費用分担。
  • 相手が無職・低収入: 「潜在的稼働能力(働けるはず)」として収入を推計して請求できるか。

これらは一筋縄ではいかない問題であり、専門的な法的知識に基づいた主張が不可欠です。

5 最後に:一人で悩まず専門家へ相談を

婚姻費用や養育費は、その後の生活を左右する重要な権利です。「相手が提示した金額が妥当かわからない」「算定表の見方が正しいか不安」という方は、まずは法律の専門家にご相談ください。
当事務所では、ご相談者様の個別の状況を丁寧にヒアリングし、適正な金額の確保に向けてサポートいたします。

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