「モラハラがひどく離婚をしたいです。離婚は初めてなので、何をどのように進めれば良いか分かりません。」

「モラハラだけでは離婚をできないと聞きました。しかし離婚の意思は固いです。どのように手続を進めれば離婚ができるのでしょうか。」

このようなご質問をお客様からいただく場合がございます。

このコラムでは、モラハラを理由とした離婚の流れと弁護士への相談方法について解説いたします。

 

【目次】

1 モラハラとは

2 言葉や態度などによる精神的な嫌がらせ・虐待・モラハラのみを理由とした場合、離婚の理由として認められるか

3 離婚手続の流れと弁護士相談

4 離婚の弁護士費用

5 おわりに

 

1 モラハラとは

モラハラとは、モラルハラスメントの略称であり、言葉や態度などによる精神的な嫌がらせ・虐待をいいます。

 

2 言葉や態度などによる精神的な嫌がらせ・虐待・モラハラのみを理由とした場合、離婚の理由として認められるか

離婚は話し合いで離婚をする協議離婚のほか、裁判所に場を移したうえで話し合いを継続し離婚をする調停離婚がございます。
これらの離婚形態は、話し合いを基礎とするため、モラハラを理由とする離婚も双方が離婚に同意すれば当然認められることになります。事実、当事務所ではこの段階で9割近くのお客様は解決しております(訴訟に移行するお客様は1割未満です。)。

他方、協議や調停でも離婚についての意見の一致をみない場合は、訴訟により離婚を求めることとなります。
訴訟離婚については、どのような場合でも離婚が認められるものではなく、民法770条1項各号に規定されている一定の場合(「離婚原因」といいます。)に離婚が認められる傾向がございます。

 (裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

上記の民法770条1項各号にはモラハラを離婚原因とする直接的な記載はございません。また、いま現在モラハラを定義した法令がある訳ではありませんので、調停や訴訟では「モラハラ」があったという抽象的な主張をするのではなく、人格を否定したり、精神的ダメージを与えたりする個々の言動・言動があった時期を出来る限り特定して主張立証することを試みることになります。
もっとも、モラハラの内容や程度によっては、上記1項5号(婚姻を継続し難い重大な事由)として主張可能な場合があり、その他、モラハラを原因として別居をしていれば、長期間の別居という事実を上記1項5号の事由として併せて主張することで離婚が認められる場合もございます。

しかしながら、過去、配偶者からモラハラ的発言をされた、と口頭で証言したとしても、モラハラを行った側は素直に認めないケースが多いです。そのため、モラハラを離婚原因の一つとして主張することが想定される場合は、(お辛い作業かと存じますが)そのモラハラの状況を証拠として保全することが大切です。
例えば、LINEに「人間のクズ」等の罵詈雑言を書かれた事案等はその状況をスクリーンショットで保存したり、モラハラ発言の内容を録音する等の保全が大切となります。
後は、前記のとおり、モラハラそれ自体は直接的な離婚原因とはなり辛いことから、別居を検討なさっている方であれば、早々に家を出る等して別居を開始し、長期間の別居という5号事由(婚姻を継続し難い重大な事由)を重ねていくことも(精神衛生という観点からも)重要といえます。

 

3 離婚手続の流れと弁護士相談

① まずは、モラハラに悩み離婚を考えた場合は、依頼するかどうかは別にしても弁護士に相談することは非常に有用です。別居前に実施するべき事項等もあるため、早めに相談をして悪いことは何一つないかと思われます。③以下は、主として弁護士に委任した場合の流れをご説明しております。

② 同居をしている場合は、別居を検討することも前記2の理由からあり得ると思われます。

③ そのうえで、まずは協議離婚ができないか検討することになります。
事案によっては、生活費が困窮しているケースもあるため、その場合は、先行して婚姻費用(生活費)の請求調停を申し立てる場合もあります。

④ 協議離婚が困難な場合は、調停を申し立てることとなります。
※離婚訴訟は調停を先に提起しなければ利用できない仕組みとなっております(調停前置主義 家事事件手続法257条1項)

⑤ 調停でも離婚が成立しない場合は、離婚訴訟を提起することとなります。
提起前にその時点における事情を改めて詳細に検討し、現時点での状況で離婚の判決まで獲得できる余地があるのか、それとも別居期間をもう少し重ねる必要があるか等の離婚原因の詳細な検討と打ち合わせを行うこととなります。

⑥ 訴訟内で和解が成立し、離婚ができる場合もありますが、判決に至る場合もあります。判決の場合は、多くの事案では、尋問といって法廷で裁判官の前でお話をしていただく機会が設けられることとなります。

⑦ 最終的に和解や判決で離婚が認められた場合は、役所で手続をし、終了となります。

 

 離婚の弁護士費用

前提として、弁護士の費用には大きく分けて4つの費用がございます。

相談料
法律相談をする際に発生する費用です。
当事務所では、初回30分については0円です。

着手金
事件着手時に発生する費用のことで、事件の結果によって金額が変わることがない費用です。結果にかかわらず着手金は返金されない費用となります。

報酬金
事件の解決時に発生する費用のことで、事件の結果によって報酬金は変わります。

実費等
実費は、交通費や郵便切手代等実際に掛かった費用です。その他には、裁判所等に出頭した場合等に発生する日当や戸籍等の取得を弁護士に依頼をした場合の取得手数料があります。
詳細は、面談をした際に、実費等請求基準表をお示ししてご説明いたします。

 

当事務所の離婚の着手金と報酬金は、以下のとおりです。なるべくわかりやすい料金体系を心がけております。税込み表記となります。

離婚

離婚

 

着手金

報酬金

協議
(交渉)

22万円

22万円

調停

33万円

※協議(交渉)から調停に移行した場合は追加着手金22万円で承ります。

33万円

訴訟

44万円

※協議(交渉)・調停から訴訟に移行した場合は追加着手金33万円で承ります。

44万円

 ※当事務所では、離婚の他に親権、面会交流、婚姻費用、養育費、財産分与、慰謝料、年金分割の問題が付随した場合も追加着手金は頂いておりませんのでご安心ください。

 

離婚問題のオプション

オプション

※争いがある場合、離婚報酬金に追加となります。

※離婚のご依頼はなく、オプションのご依頼のみを頂く場合の着手金は、離婚の着手金と同額となります。

報酬金

親権

獲得した場合

獲得を阻止した場合

22万円

22万円

面会交流

達成した場合

阻止した場合

22万円

22万円

婚姻費用

得られた場合

減額した場合

得られた2年分(現実の受領が2年を超える場合、受領期間分)の
11%
※最低額22万円

減額した2年分(現実の減額が2年を超える場合、減額期間分)の
11%

※最低額22万円

養育費

得られた場合

減額した場合

得られた5年分の11%
※最低額22万円

減額した5年分の11%
※最低額22万円

財産分与

得られた場合

 減額した場合

得られた額の11%
※最低額22万円

減額した額の11%
※最低額22万円

慰謝料

得られた場合

減額した場合

得られた額の11%
※最低額22万円

減額した額の11%
※最低額22万円

年金分割

得られた場合

減額した場合

11万円

減額した額の22%

※面会交流の達成・阻止は現状より条件が向上した場合を含みます。
※子の氏の変更許可申立を行う場合は3万3000円で承ります(離婚をしたとしても子の氏は当然には親権者の氏とはなりません。そのため、氏の変更を希望する場合は家庭裁判所に対し申立を行う必要があります。)。

 

5 おわりに

モラハラそれ自体は直接的な離婚原因にはならないかもしれませんが、モラハラで実際に離婚をされている方は数多くいらっしゃいます。

訴訟上の離婚がすべてではなく、殆どのお客様は協議や調停で離婚が成立しておりますので、離婚をしたいというお気持ちが固まったのであれば、理由はともかくまずは弁護士に一度ご相談をなさることを強くお勧めいたします。

 

 

 

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