刑事事件のうち、被害者のいる事件において、被害者と「示談」が成立するかどうかは、その後の検察官の処分や判決の量刑に大きな影響を与えます。
しかし、被疑者がどんなに示談を希望したとしても、様々な事情により、被害者と示談が成立しない場合もあります。
このようなときにとり得る手段として、「弁済供託」や「贖罪寄附」という方法があります。

このコラムでは、弁済供託と贖罪寄附の手続や、これらが検察官の処分や判決の量刑に与える影響の有無、程度などについてご説明します。

【目次】
1 示談できないとどうなるのか
2 弁済供託とは
3 贖罪寄附とは
4 当事務所の刑事弁護に関する弁護士費用
5 刑事弁護を弁護士に依頼するメリット
6 FAQ(よくある質問)


1 示談できないとどうなるのか

被害者のいる事件において、被害弁償し、被害者に許してもらうことは、検察官の処分判断や裁判所の量刑に大きく影響しますので、弁護人としては、まずは、被害者に対して、被害者が被った損害を賠償した上、被害者から被疑者を許してもらい、刑事罰を求めない意思を表明してもらう内容の示談を目指すことになります。

他方、示談できるかどうかは、被害者の意向次第ですので、被害者が被疑者や弁護人との連絡を拒否したり、示談交渉自体は応じていても、被疑者の提示する示談金額と被害者の求める示談金額に大きな隔たりがあり、結果、示談が成立しないこともあります。
示談が成立しない場合でも、示談以外の別の方法で被疑者の反省の情や被害者に対する誠意を示すことができれば、起訴を免れたり、量刑上不利な判断を免れる可能性があります。

以下では、示談の代わりにとり得る手段として、「弁済供託」と「贖罪寄附」についてご説明します。

※ なお、示談が不起訴処分の判断に与える効果や示談書に盛り込む内容などについては、コラム「不起訴処分の判断基準と不起訴処分を獲得するための活動のポイント」をご参照ください。
https://kl-o.jp/2024/07/18/%E3%80%8C%E4%B8%8D%E8%B5%B7%E8%A8%B4%E5%87%A6%E5%88%86%E3%81%AE%E5%88%A4%E6%96%AD%E5%9F%BA%E6%BA%96%E3%81%A8%E4%B8%8D%E8%B5%B7%E8%A8%B4%E5%87%A6%E5%88%86%E3%82%92%E7%8D%B2%E5%BE%97%E3%81%99%E3%82%8B/


2 弁済供託とは

弁済供託は、民法第494条以下に定められた制度で、債権者(=被害者)が弁済の受領を拒否する場合などに、債務者(=被疑者)が、相当と考える被害弁償額(損害賠償額)を法務局に金銭を供託することで弁済の効力を生じさせ得るものです。
刑事事件においても、被疑者が被害者から示談を拒否された場合に、被害弁償の意思を示す手段として利用されることがあります。

【手続の概要】
①弁済供託によって債務を消滅させるためには、供託原因が必要です。刑事事件の示談交渉における供託原因としては、例えば、被疑者が被害者に対して被害弁償をすべく、示談交渉を重ねたものの、示談金額で合意に至らず、被害者から示談金の受領をあらかじめ拒否され、被疑者が相当と考える示談金額を準備の上、口頭にて提供したにもかかわらず、被害者から受領を拒否されたといった場合が考えられます。

②供託をする場合には、供託書(各供託所に備え付けられています。)に必要事項を記載し、これに供託物を添えて、債務の履行地の供託所において供託の手続を行う必要があります。また、インターネットを利用して、供託をすることもできます。
供託書には、①でご説明した供託原因を、「供託の原因たる事実」欄に記載する必要があります。

③供託申請が受理されると、供託金の納付を求められますので、期限までに納付します。

④検察官(既に公判請求されている場合には裁判所)に対して、供託書の写しを提出します。

【弁済供託の効果】
弁済供託を行うと、被害者が金銭を受け取らなくても、被害者に対する弁済の効果を生じさせることができます(ただし、あくまでも法務局は供託を受理するだけであり、被害金額に争いがあるケースにおいて、民事上、債務の本旨に従った弁済といえるか否かは問題になり得ることに留意が必要です。)。

その結果、刑事手続においても、被疑者が被害者に対する被害回復に向けた努力を尽くしたと評価されることがあり、他の情状と相まって、検察官の処分で言えば、不起訴処分(起訴猶予)、裁判の量刑で言えば執行猶予判決を獲得するための最後の一押しになる可能性があります。

もっとも、供託しただけでは、実際に被害者が供託金を受け取るかどうかは分からないので、示談成立と同等の効果があるわけではなく、あくまで、刑事処分の判断や量刑において、情状酌量の一要素となるにとどまることには留意が必要です。


3 贖罪寄附とは

贖罪寄附(しょくざいきふ)とは、被害者に直接賠償できない場合に、社会的に公益性のある団体などに寄附を行うことで、反省の意思を示す方法です。

贖罪寄附は、被害者のいない犯罪(例えば、薬物犯罪など)を起こした被疑者が、反省の気持ちを示すために利用されることが多いですが、被疑者が被害者から示談を拒否された場合にも、反省の気持ちを示す手段として利用されることもあります。

【寄附先の例】
・ 各弁護士会
https://www.nichibenren.or.jp/activity/justice/houterasu/shokuzai_kifu.html

・ 日本司法支援センター(法テラス)
https://www.houterasu.or.jp/site/kifu/syokuzaikifu.html

いずれの寄附先も、弁護人を通じてしか寄附を受け付けていませんので、寄附する場合には、私選又は国選で弁護人を選任している必要があります。

【贖罪寄附の効果】
贖罪寄附をすることで、寄附先から「贖罪寄附を受けたことの証明」を受けることができます。
この証明を検察官又は裁判所に提出することで、被疑者の反省の情を明らかにする効果があります。

贖罪寄附についても、事案によっては、他の情状と相まって、不起訴処分(起訴猶予)、執行猶予判決を獲得するための最後の一押しになる可能性がありますので、被害者と示談もできず、弁済供託もできない場合の最後の手段として、贖罪寄附を検討する価値は十分にあると考えます。

もっとも、贖罪寄附は、あくまでも「寄附」に過ぎず、これによって被害回復がなされる訳ではありませんので、示談や被害弁償と比較して、検察官の処分や量刑に大きな効果までは期待できないことには留意が必要です。


4 当事務所の刑事弁護に関する弁護士費用

当事務所の刑事弁護に関する費用は次のページをご参照ください。
https://kl-o.jp/crime/#00003


5 刑事弁護を弁護士に依頼するメリット

これまで述べてきたとおり、示談交渉は弁護人でなければできないことが多いと思われますし、贖罪寄附も、弁護人を通じてでないと受け付けてもらえません。また、弁済供託も、法務局から供託原因について、法律に基づいた正確な記載が求められるため、迅速に手続を進めるには専門的知識やノウハウが豊富な弁護士の助言、協力が不可欠です。

当事務所は、元検察官の弁護士に加え、刑事裁判に関する豊富な知識、経験を有している弁護士が所属していますので、まずはお気軽にご相談ください。


6 FAQ(よくある質問)

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