「家賃を滞納している借主がいるのですが、どのようにして退去を求めればよいでしょうか。」

「家賃滞納者の部屋にマスターキーで入り、中の荷物を持ち出してもよいでしょうか。」

 

このようなご質問は、多くのお客様から多く寄せられる質問です。

このコラムでは、家賃滞納者に退去を求める法的方法についてご説明します。

 

【目次】

1 家賃滞納者に退去を求める方法(概要)

2 ステップ1(賃貸借契約の解除)

3 ステップ2(建物明渡しの訴訟)

4 ステップ3(強制執行による強制退去)

5 家賃滞納に関するトラブルを弁護士に依頼するメリット

6 当事務所の弁護士費用

7 おわりに

 

1 家賃滞納者に退去を求める方法(概要)

家賃滞納者がいる場合、不動産オーナーの収入源である賃料が入ってこないため、一刻も早く家賃滞納者に退去を求め、新たな借主から賃料の回収を図るべきです。
もっとも、賃貸借契約が継続した状態では、貸主は借主に退去を求めることができません。

退去を求めるためには、まず①賃貸借契約を解除する必要があります。解除したうえで借主に対して建物を明渡すように要求するのですが、借主が任意で明渡さない場合、今度は②建物明渡しの訴訟を提起することになります。そして、訴訟で建物明渡しの請求を認める判決が出た場合、多くの借主は建物から退去するのですが、一部の悪質な借主はそれでも退去をしません。その場合は、③強制執行により、借主を強制的に退去させることになります。

以上のように、家賃滞納者を追い出すためには、①→②→③のステップを踏む必要があります。以下では、各ステップの具体的な方法について、解説していきます。

※なお、いくら悪質な家賃滞納者であろうと、①→②→③のステップを無視して無断で部屋の中に入り、中の物を外に出したり処分したりすることは絶対にダメです。これらを行ってしまうと、住居侵入罪や器物損壊罪といった刑事罰に問われるリスク、自力救済の禁止に反してしまい貸主が損害賠償を求められるリスクがあります。

 

2 ステップ1(賃貸借契約の解除)

家賃滞納を理由に賃貸借契約を解除するには、原則として、「催告による解除」(民法第541条)という方法を採ります。これは、家賃滞納者に対して、相当期間を定めて滞納分を支払うように催告し、その期間内に支払いがされない場合に契約を解除するものです。

この催告は、通常は内容証明郵便で行います。内容証明郵便とは、「いつ、誰に、どんな内容」の文書が送付されたのかを日本郵便が証明してくれるものです。内容証明郵便で送らなかった場合、後の建物明渡しの訴訟で、家賃滞納者が「家主から家賃の催告など受けたことがない」と反論されてしまったとき、契約の解除が認められない可能性があります。

以上が、契約の解除の原則的な方法となります。

一方、契約内容として、賃料不払いがあった場合に貸主が催告をせずに解除ができる合意をしていた場合、催告をせずに解除ができる場合(いわゆる無催告解除)があります。そのため、契約を解除する場合、一度賃貸借契約書を確認してみることをお勧めします。

 

3 ステップ2(建物明渡しの訴訟)

ステップ1で契約を解除したにもかかわらず、借主が立ち退かない場合、今度は建物明渡しの訴訟を提起することになります。 任意に退去しない借主を強制的に退去させるためには、ステップ3の強制執行を行う必要があります。
しかし、その強制執行を行うためには、債務名義が必要になります。

債務名義とは、平たく言うと、権利を強制的に実現してもよいことを裁判所が許可した文書となります。建物明渡し請求との関係でいえば、「貸主が借主を強制的に退去させてもよい」と裁判所からのお墨付きをもらうことになります。そして、このお墨付き(債務名義)を裁判所からもらうためには、建物明渡しの訴訟で、借主に勝つ必要があります。このお墨付き(債務名義)を獲得するために、訴訟を提起するのです。

この訴訟を起こすためには、訴状(訴える人=原告の言い分を記載した書面)の他、不動産登記謄本や固定資産評価額証明書、ステップ1で送付した内容証明郵便などを裁判所に提出する必要があります。

 

4 ステップ3(強制執行による強制退去)

建物明渡しの請求を認める判決が出た場合、たいていの借主は退去に応じます。
しかし、訴訟で負けたにもかかわらず、退去を行わない借主は一定数存在します。このような任意に退去を行わない借主に対しては、最終手段として強制執行により追い出すことになります。

強制執行による強制退去の方法は、建物所在地を管轄する地方裁判所に強制執行の申立てを行います。この際、費用として予納金を約3~4万円(借主の人数や各地方裁判所の規定により増減します)支払う必要があります。
実際に強制執行を行うのは執行官という裁判所の職員です。
予納金を支払った後、執行官や立会人等の関係者と強制執行を行う部屋に訪問し、明渡し期限と強制執行日時を記載した書面を部屋に張り付けます。
これを明渡しの催告(民事執行法第168条の2)と言い、借主に対する最終通告となります。
そして、借主が最終的に退去せず、強制執行に日時になった場合、執行官や鍵業者らが強制執行の現場に出向き、開錠して部屋から荷物を強制的に運び出し、明渡し完了となります。

 

5 家賃滞納に関するトラブルを弁護士に依頼するメリット

⑴ 誤りなく法的手続きを確実・迅速に進めることができる

不動産明渡しの法的手続きは、ステップ1~ステップ3までの手続きを正確に行う必要があります。例えば、ステップ1の催告を正しい内容で、かつ内容証明郵便によって行っていなかった場合、後のステップ2の訴訟で解除が認められず、再度内容証明郵便で催告をし直さなければならない可能性があります。これでは、不動産明渡しに時間がかかり、賃料の回収が遅れて損害が拡大してしまいます。
しかし、弁護士に依頼すれば、正確にステップ1~ステップ3の手続き行うことができ、迅速に手続きを進めることができます。

⑵ 借主と直接やりとりをすることがなくなるので、交渉や手続等の精神的な負担を大幅に減らすことができる

弁護士に依頼をした以降は交渉の窓口は弁護士になります。
そのため、直接揉めている相手方とやりとりをすることがなくなるため、ストレスを大幅に軽減することができます。
また、こちらの主張を受け入れてもらうためには、その伝え方や主張の順番等を考慮しながら手続を進めることが重要です。
どのように交渉を進めるとより適切な解決に導けるか、弁護士は常に考えながら手続を進めます。
ご自身で法的な知識の側面以外に、そのような点も配慮しながら手続を進めることは負担が大きく、それを弁護士に一任できる点は大きなメリットといえます。

 

6 建物(土地)明渡しに関する当事務所の弁護士費用

不動産明渡し

不動産明渡し

 

着手金

報酬金

交渉

 

33万円




・明渡しを請求し認容された場合

賃料滞納が理由の場合:33万円
それ以外が理由の場合:55万円

訴訟

33万円

※交渉から訴訟に移行する場合は追加着手金11万円

※交渉から訴訟に移行する場合、追加着手金11万円
※月額最低5.5万円の分割払い可
※処分禁止の仮処分、占有移転禁止の仮処分を行う場合は、着手金22万円を加算

 

未払い賃料の請求をする場合

未払い賃料の請求をする場合

(または請求をされた場合)



 

着手金

報酬金

交渉

22万円

 

・経済的利益が300万円以下の場合
経済的利益の17.6%(ただし最低22万円)
・経済的利益が300万円を超え3000万円以下の場合
経済的利益の11%+19.8万円
・経済的利益が3000万円を超え3億円以下の場合
経済的利益の6.6%+151.8万円
・経済的利益が3億円を超える場合
経済的利益の4.4%+811.8万円

経済的利益とは、認容金額をいいます。




調停

22万円
※交渉・調停から訴訟に移行する場合は
追加着手金22万円
※交渉から調停に移行する場合は追加着手金11万円

訴訟

33万円

※交渉・調停から訴訟に移行する場合は
追加着手金22万円

【不動産明渡の強制執行(判決後も任意に明渡さない場合)】
22万円
※強制執行に先立ち、当事務所に事件のご依頼を頂いていた方のみ、この金額で強制執行手続を承ります。

【賃料請求の強制執行(判決後も任意で支払わない場合)】
22万円
※強制執行に先立ち、当事務所に事件のご依頼を頂いていた方のみ、この金額で強制執行手続を承ります。

 

7 おわりに

家賃滞納者をいち早く追い出し、新たな借主から賃料の回収を行うためには、正確かつ迅速に明渡し請求の手続きを進める必要があります。何か少しでもお悩みの際は、当事務所でお力になれる可能性がありますので、まずはお気軽に弁護士までご連絡いただければと思います。

 

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