「夫/妻が突然子どもを連れて家を出て行ってしまった。」

「面会交流中に相手方が子どもを連れ去ってしまった。」

「離婚に向けて子どもを連れて別居をしていたところ、裁判所から「子の引渡し」の申立書が届いた。」

こういったご相談をお受けするケースがございます。

今回の記事では、子の監護者指定・子の引渡し・審判前の保全処分について解説していきます。

 

【目次】

1 子の監護者指定・子の引渡しとは

2 審判前の保全処分とは

3 子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分の流れ

4 子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分の判断基準

5 子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分を弁護士に依頼するメリット等

6 当事務所の子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分の弁護士費用

 

1 子の監護者指定・子の引渡しとは

ご夫婦の関係が悪化して離婚に向けて別居を開始するタイミングになると、ご夫婦のどちらか一方が子どもを連れて実家等に戻るといったことが多いです。

このような場合、子どもを連れ帰られた夫/妻は、子どものことを思う気持ちなどから、「すぐにでも子どもを自分のところへ取り戻したい!」と思われることかと思います。しかしながら、子どもを実力行使で取り戻す(自力救済)ことは認められておらず、家庭裁判所での法的手続を執ることが必要になります。

このための法的手続として用意されているのが、

〇子の監護者の指定(の「審判」申立て)…子どもを自分のもとで育てることを求める
〇子の引渡し(の「審判」申立て)     …子どもを自分のもとに引渡すことを求める

という手続になります。

※ 法的手続としては、子の監護者の指定の「調停」申立て・子の引渡しの「調停」申立ても用意されていますが、調停はあくまでも裁判所での話し合いであることから、より実効性が期待できる「審判」の申立てをすることが一般的です。

 

2 審判前の保全処分とは

また、今すぐにでも子どもの監護環境(養育環境)を変更しなければ、子どもに虐待等の重大な危険が生じるのではないかとのご懸念があるケースもあること、早急に裁判所による審理・家庭裁判所調査官による調査をするべきではないかと思われるケースもあることなどから、「子どもを仮に自分のもとで育てることを求める」「子どもを仮に自分のもとに引き渡すことを求める」という子の監護者の「仮の」指定・子の「仮の」引渡しを求める審判前の保全処分も、審判の申立てと一緒に行うことが一般的です。

 

3 子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分の流れ

子の監護者指定の審判等の手続きの流れは、次のようになるのが一般的です。

① 弁護士相談依頼、申立書・陳述書等作成

弁護士に相談依頼いただき、申立書や子どものこれまでの成育歴・生活歴・夫/妻の経済状況・家庭環境などを記載した陳述書を作成します。

② 家庭裁判所に申し立てを行います。

③ 申立て後、裁判所において第1回目の審判期日が開かれます。

この第一回目の審判期日では、裁判官・家庭裁判所調査官出席のもと、申立書等に記載された事情を踏まえて、夫婦双方から子どものこれまでの監護状況や子どもについて心配していることなどについて、聴き取りが行われます。

④ 家庭裁判所調査官による調査・調査官報告書の作成

その後、第1回目の審判期日で聴き取った事情を踏まえて、第2回目の審判期日までの間に、児童心理学等の専門的な知識を持つ家庭裁判所調査官により、順序などは前後することなどもありますが、⑴家庭裁判所において申立人の意見聴取、⑵家庭裁判所において相手方の意見聴取、⑶子どもと同居している親の家庭における子どもの監護環境(養育環境)の調査(家庭訪問調査)などが行われることになります。

家庭裁判所調査官は、これらの調査を踏まえて、子どもの監護環境や子どもに危険がないかなどの意見を記載した調査官報告書を作成します。この調査報告書は、第2回目の審判期日の1週間前を目途に作成されるのが一般です。

⑤ 裁判所において第2回目の審判期日が開かれます。

この第2回目の審判期日では、調査官報告書を踏まえて、子どもに危険があるかといった裁判官の考えが示され、これをもとに裁判官から審判になった場合の見通しや面会交流を充実させる方向での和解案といった解決案が示されることがあります。

⑥ 審理終結・審判

和解での解決等が難しい場合には、審理終結となり、審判という形で裁判官の判断が示されることになります。

 

4 子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分の判断基準

それでは、3の手続きの中では、どのような判断基準で子の引渡し等が判断されるのでしょうか。

子の引渡しの審判申立等に至るケースでは、ご夫婦の対立が激しい場合もありますが、この手続きは、離婚後も親子であることは変わらない中で、あくまでも子どものいま現在・未来のためにはどのような環境を築いてあげるのがよいか(「子の福祉」といったりします。)、という大きな枠組みで判断されることになります。

より細かい判断基準としては、これまでの監護状況(子どもの身の回りの世話、各種検診、学校対応など)、現在の監護状況、監護能力、監護環境、子どもの年齢・心身の状況、子どもの意向などの事情を総合してみて、ご夫婦のどちらが子どもの監護をするのが良いかを決めることになります。

 

5 子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分を弁護士に依頼するメリット等

子の監護者指定の審判等の申立て、審判期日の対応、調査官調査の対応等では、4の判断基準を踏まえて、これまでの子どもを巡る状況につき、緻密な主張立証を行っていく必要があります。また、子の監護者指定の審判等の申立てをする/されるケースでは、離婚や面会交流など家族に関するほかの手続全体を視野に入れて、ご夫婦の問題・今後の子どもの福祉につき、どのようなゴールを目指すのが良いか(納得できるか)意見・戦略を整理する必要があります。このような主張立証・戦略を考える上では、高度な法的知識が必要となりますので、弁護士に依頼するメリットがございます。

また、特に父親(夫側)で引渡しを求める場合、子どもの年齢などの事情によるところではございますが、引渡しが認められるハードルが高いのは事実ではあります。しかしながら、子の引渡し手続きの中で実施される家庭裁判所調査官による調査により、相手方のもとにいる子どもの状況が分かる(虐待等の危険がないことが分かる)場合もございますし、子の引渡し手続きを踏まえて、面会交流調停の中で面会交流を充実させる方向に解決が向かうこともございますので、子の福祉・家族に関する手続全体を視野に入れて子の引渡しにチャレンジする方が納得のいく解決を目指せる場合もあろうかと思います。

 

6 当事務所の子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分の弁護士費用

まず前提として、弁護士の費用には大きく分けて4つの費用がございます。

相談料

法律相談をする際に発生する費用です。
当事務所では、初回30分については0円です。

着手金

事件着手時に発生する費用のことで、事件の結果によって金額が変わることがない費用です。
結果にかかわらず着手金は返金されない費用となります。

報酬金

事件の解決時に発生する費用のことで、事件の結果によって報酬金は変わります。
つまり、経済的利益が得られなければ基本的に報酬金は0円となります。

実費等

実費は、交通費や郵便切手代等実際に掛かった費用です。
その他には、遠方の裁判所等に出張した場合に発生する日当や戸籍等の取得を弁護士に依頼をした場合の取得手数料があります。
詳細は、面談をした際に、実費等請求基準表をお示ししてご説明いたします。

 

当事務所の子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分の着手金と報酬金は、以下のとおりです。※引き渡しを求める側も、求められる側も同様の金額となります。

監護者指定・子の引渡・審判前の保全処分

監護者指定
子の引渡し
審判前の保全処分

 

着手金

報酬金

審判(保全なし)

44万0000円

基礎報酬
22万0000円
成功報酬
44万0000円

審判(保全あり)

55万0000円

基礎報酬

33万0000円

成功報酬

55万0000円

 

※上級審に移行した場合は、別途税込み22万円

 

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