(令和8年5月14日、コラムを更新しました。)
「夫/妻が突然子どもを連れて家を出て行ってしまった。」
「面会交流中に相手方が子どもを連れ去ってしまった。」
「離婚に向けて子どもを連れて別居をしていたところ、裁判所から『子の引渡し』の申立書が届いた。」
こういったご相談をお受けするケースがございます。
今回の記事では、子の監護者指定・子の引渡し・審判前の保全処分について解説していきます。
【目次】
1 子の監護者指定・子の引渡しとは
2 審判前の保全処分の活用
3 子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分の流れ
4 子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分の判断基準
5 子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分を弁護士に依頼するメリット等
6 当事務所の子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分の弁護士費用等
1 子の監護者指定・子の引渡しとは
ご夫婦の関係が悪化して離婚に向けて別居を開始するタイミングになると、ご夫婦のどちらか一方が子どもを連れて実家等に戻るといったことが多いです。
このような場合、子どもを連れ帰られた夫/妻は、子どものことを思う気持ちなどから、
「すぐにでも子どもを自分のところへ取り戻したい!」
と思われることかと思います。しかしながら、子どもを実力行使で取り戻す(自力救済)は認められておらず、家庭裁判所での法的手続を執ることが必要になります。
このための法的手続として用意されているのが、
〇子の監護者の指定(の「審判」申立て)…子どもを自分のもとで育てることを求める
〇子の引渡し(の「審判」申立て) …子どもを自分のもとに引渡すことを求める
という手続になります。
※ 法的手続としては、子の監護者の指定の「調停」申立て・子の引渡しの「調停」申立ても用意されていますが、調停はあくまでも裁判所での話合いであることから、より実効性が期待できる「審判」の申立てをすることが一般的です。
2 審判前の保全処分の活用
• 今すぐにでも子どもの監護環境(養育環境)を変更しなければ、子どもに虐待等の重大な危険が生じるのではないかとのご懸念があるケース
• 早急に裁判所による審理・家庭裁判所調査官による調査をするべきではないかと思われるケース
がございます。このようなケースの場合は、
「子どもを仮に自分のもとで育てることを求める」
「子どもを仮に自分のもとに引き渡すことを求める」
という、子の監護者の「仮の」指定・子の「仮の」引渡しを求める審判前の保全処分も、審判の申立てと一緒に行うことが一般的です。
3 子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分の流れ
子の監護者指定の審判等の手続の流れは、次のようになるのが一般的です。
① 弁護士相談依頼、申立書・陳述書等作成
弁護士に相談依頼いただき、申立書や子どものこれまでの成育歴・生活歴・夫/妻の経済状況・家庭環境などを記載した陳述書を作成します。
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② 家庭裁判所に申立てを行います。
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③ 申立て後、裁判所において第1回目の審判期日が開かれます。
この第1回目の審判期日では、裁判官・家庭裁判所調査官出席のもと、申立書等に記載された事情を踏まえて、夫婦双方から子どものこれまでの監護状況や子どもについて心配していることなどについて、聴き取りが行われます。
↓
④ 家庭裁判所調査官による調査・調査官報告書の作成
その後、第1回目の審判期日で聴き取った事情を踏まえて、第2回目の審判期日までの間に(なお、ケースによっては第3回目、第4回目…の審判期日の場合もあります。)、児童心理学等の専門的な知識を持つ家庭裁判所調査官により、順序などは前後することなどもありますが、⑴家庭裁判所において申立人の意見聴取、⑵家庭裁判所において相手方の意見聴取、⑶子どもと同居している親の家庭における子どもの監護環境(養育環境)の調査(家庭訪問調査)などが行われることになります。
家庭裁判所調査官は、これらの調査を踏まえて、子どもの監護環境や子どもに危険がないかなどの意見を記載した調査官報告書を作成します。この調査報告書は、第2回目の審判期日の1週間前を目途に作成されるのが一般です。
↓
⑤ 裁判所において第2回目の審判期日が開かれます。
この第2回目の審判期日では、調査官報告書を踏まえて、子どもに危険があるかといった裁判官の考えが示され、これをもとに裁判官から審判になった場合の見通しや面会交流を充実させる方向での和解案といった解決案が示されることがあります。
↓
⑥ 審理終結・審判
和解での解決等が難しい場合には、審理終結となり、審判という形で裁判官の判断が示されることになります。
4 子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分の判断基準それでは、3の手続の中では、どのような判断基準で子の引渡し等が判断されるのでしょうか。
子の引渡しの審判申立等に至るケースでは、ご夫婦の対立が激しい場合もありますが、この手続は、離婚後も親子であることは変わらない中で、あくまでも子どものいま現在・未来のためにはどのような環境を築いてあげるのがよいか(「子の福祉」といったりします。)、という大きな枠組みで判断されることになります。
具体的には、
① 子が従前どのように監護養育されてきたか(従前の監護状況)
② 子が今後どのような監護養育を受けられるか(監護態勢)
③ 子が親とどのような関係を築いているか(子との関係性)
④ 子が親から他方の親との関係を維持するために必要な配慮を受けられるか(他方の親と子の関係に対する姿勢)
という観点から判断されるのが一般的です。
特に、近時、裁判官が研究員となって執筆された『子の監護・引渡しを巡る紛争の審理及び判断に関する研究』が公刊されており、家庭裁判所の裁判官はこの司法研究を参照して審理・判断をする可能性が高いことから、上記4つの観点を踏まえた適正・効果的な主張等を行なうためには、この司法研究を申立人・相手方においても参照する必要性が高いといえます。
5 子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分を弁護士に依頼するメリット等
子の監護者指定の審判等の申立て、審判期日の対応、調査官調査の対応等では、4の判断基準を踏まえて、これまでの子どもを巡る状況につき、緻密な主張立証を行っていく必要があります。
また、子の監護者指定の審判等の申立てをする/されるケースでは、離婚や面会交流など家族に関するほかの手続全体を視野に入れて、ご夫婦の問題・今後の子どもの福祉につき、どのようなゴールを目指すのが良いか(納得できるか)意見・戦略を整理する必要があります。このような主張立証・戦略を考える上では、高度な法的知識が必要となりますので、弁護士に依頼するメリットがございます。
特に父親(夫側)で引渡しを求める場合、子どもの年齢などの事情によるところではございますが、引渡しが認められるハードルが高いのは事実ではあります。
しかしながら、子の引渡し手続の中で実施される家庭裁判所調査官による調査により、相手方のもとにいる子どもの状況が分かる(虐待等の危険がないことが分かる)場合もございますし、子の引渡し手続を踏まえて、面会交流調停の中で面会交流を充実させる方向に解決が向かうこともございますので、子の福祉・家族に関する手続全体を視野に入れて子の引渡しにチャレンジする方が納得のいく解決を目指せる場合もあろうかと思います。
加えて、令和8年4月から、父母の離婚後の親権者の定めにつき、父母双方を親権者と定める選択肢を追加する民法改正が施行されることとなるため、この共同親権制度に基づく親権者指定・変更という手続をするのか、子の引渡しを求める手続をするのかという選択について、複雑高度な決断を求められる場面が増えることも想定されます。
6 当事務所の子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分の弁護士費用等
子の監護者指定の審判・子の引渡しの審判・審判前の保全処分に関する当事務所の弁護士費用は、以下のリンクからご確認いただけます。
https://kl-o.jp/divorce/#00002
また、その他の関連コラムとして、以下もご参照ください。
「家族法改正(父母の責務の明確化、親権、養育費、親子交流[面会交流]、財産分与等に関する改正)の解説」
「家族法改正(父母の責務の明確化、親権、養育費、親子交流[面会交流]、財産分与等に関する改正)の解説」
「子の引渡しの強制執行」
子の引渡しの強制執行
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