「残業代の計算はどのようにして行うのでしょうか。」

「会社が残業代の計算のための資料を開示してくれません。どうしたらよいでしょうか」


このようなご質問は、多くのお客様から多く寄せられる質問です。
このコラムでは、残業代請求の基礎知識を弁護士に依頼するメリットとともに解説します。

 

【目次】

1 残業代(割増賃金)を請求できるケース

2 残業代の計算方法

3 残業代の請求の流れ

4 残業代請求の当事務所の弁護士費用

5 残業代請求を弁護士に依頼するメリット

6 おわりに

 

1 残業代(割増賃金)を請求できるケース

使用者は、労働者に①時間外労働をさせた場合、②休日に労働させた場合、③深夜(午後10時~午前5時)に労働させた場合は、残業代(割増賃金)を支払う必要があります(労基法37条1項・4項)。
会社に残業代を請求する場合、①「時間外労働」と②「休日」の意義について、正確に理解する必要があります。


⑴ ①時間外労働
「時間外労働」の法律上の意味は二つあります。
一つは法内時間外労働というものです。これは、例えば会社の所定労働時間(労働契約で定められた労働時間)が7時間の場合、7時間を超えて8時間までの間の労働を意味します。 もう一つは、法定時間外労働というものです。これは、1日8時間を超えて働いた場合や一週間40時間を超えて働いた場合を意味します(労基法32条1項・2項)。
この二つの時間外労働のうち、労基法上使用者が残業代を支払う必要があるとされているのは、法定時間外労働となります。


⑵ ②休日労働
「休日」についても、法律上二つの意味があります。
一つは、休日です。これは、労基法上使用者は労働者に週1回以上の休日を与える必要があるとされていますが(労基法35条1項)、この週1回の休日のことを指します(4週間を通じて4日以上の変形週休制を採用している場合は、その4日)。
もう一つは、定外休日です。これは、法定休日に該当しない労働契約で定められた休日となります。
よく勘違いされやすいのですが、例えば土日休みの会社で、土曜日を法定外休日、日曜日を法定休日としている場合、土曜日に出勤したからといって法定外休日出勤をしたことにはならない(休日出勤の残業代は出ない)ことになります。
なお、土曜日に出勤することで、週40時間以上働くことになる場合は、法定外時間外労働(上記①の場合)にあたりますので、残業代を請求することができます。

 

2 残業代の計算方法

⑴ 残業代の計算方法は、以下の式となります。

労働契約に基づく1時間当たりの賃金×残業時間×割増率

 

⑵ 割増率は労基法上以下のように定められています(労基法37条1項・4項)。

時間外割増賃金
・1日8時間を超える残業(週40時間を超える)→25%増し
・1ヶ月に60時間を超える法外残業→50%増し(令和5年3月31日までは中小企業には適用されませんが、同年4月1日以降は中小企業にも適用されることになります。)

休日労働割増賃金
・休日労働→35%増し

深夜労働割増賃金
・午後10時~午前5時→25%増し

 

⑶ 以上のように、残業代の計算式は労働契約に基づく1時間当たりの賃金×残業時間×割増率であり、至ってシンプルです。
もっとも、労働契約に基づく1時間当たりの賃金の算定で、基本給とは別に支給されている各種手当を算定の基礎に入れるかどうか、割増率が複数にまたがる場合の計算など、残業代の計算を正確に行うには法的知識が要求されます。
そのため、ご自身での残業代の計算に不安がある場合、弁護士に相談することをおすすめします。

 

3 残業代請求の流れ

以下では、残業代請求を行う場合の一般的な流れをご説明します。

⑴ 残業代請求のための資料を集める
会社に残業代を請求するにあたっては、まず残業代を計算するための資料(タイムカード、雇用契約書、就業規則、給与明細など)を集めます。残業時間を立証するための資料に限定がある訳ではないので、タイムカードなどの典型的な資料がなくても粘り強く資料を集め、検討することが重要です。 これらの資料がお手元にある場合や会社から取得できる場合はよいのですが、既に会社を退職してしまった場合など、ご自身で資料を収集することが困難な場合があります。 この場合には、弁護士が上記資料の開示を会社に求めることになります。そのため、たとえご自身で収集することができない場合でも諦める必要はありません

⑵ 会社に残業代を請求する内容の書面を送付する
残業代の計算が完了後、会社に残業代を請求する内容の文書を送付します。
この文書は内容証明郵便で送付するのが一般的です。これは、残業代の時効は給料日の翌日から3年間となっているため(労基法115条・143条3項)、時効の完成を猶予させるために、会社に請求(催告)したことを証拠として残しておくためです。
なお、内容証明で請求をした場合も請求時から半年以内に訴訟提起等の時効中断行為をしなければ、時効にかかり消滅する場合がありますので注意が必要です(民法150条1項参照)。

⑶ 会社と残業代の支払いについて交渉する
残業代の請求を行ってからもその支払いがされない場合、さらに文書を送るなどして会社と交渉を行います。
文書で残業代の請求をしたからといって、スムーズに話が進むとは限らず、「固定残業代で既に残業代は支払い済みである」など、会社から様々な反論がされることがあります。 このような反論に対して適切に反論していくためには、残業代請求についての正確な法的知識が必要となり、個人で交渉を行うことは大きな負担となります。

⑷ 労働審判・訴訟を行う
会社との話合いによる交渉で解決ができなかった場合、労働審判や訴訟での解決を目指します。
これらの方法を行う場合は、裁判所における法的手続となることから、弁護士にご依頼いただくことを検討頂いた方がよいものと思います。

 

4 残業代請求の当事務所の弁護士費用

当事務所の残業代請求の弁護士費用は以下のとおりです。


残業代請求
税込表記

残業代請求



 

着手金

報酬金

交渉

0円

・任意交渉で解決した
33万円+和解額の19.8%

労働審判で解決した場合
22万円+手続の結果認容された額の26.4%
訴訟で解決した場合
手続の結果認容された額の33%(最低44万円)

 

労働審判

22万円

訴訟

33万円
※労働審判から訴訟に移行した場合は追加金22万円で承ります。

※着手金は月額5.5万円からの分割払も可能です。

 

5 残業代請求を弁護士に依頼するメリット


 残業代の正確かつ迅速な回収が期待できる
先ほど説明したとおり、残業代の計算を正確に行うことは容易ではありません。そして、正確ではない残業代を会社に請求したとしても、会社がそれに応じる可能性は低いと考えられます。
また、会社がタイムカードなどの資料の開示になかなか応じない場合、その分、解決が長引いてしまいます。
一方、弁護士に依頼することで、資料の早期の収集と正確な残業代の計算が期待でき、残業代の正確かつ迅速な回収が見込まれます。

 直接やりとりをすることがなくなるので、交渉や手続等の精神的な負担を大幅に軽減できる
弁護士に依頼をした以降は交渉の窓口は弁護士になります。
そのため、会社とやりとりをすることがなくなるため、ストレスを大幅に軽減することができます。
また、こちらの主張を受け入れてもらうためには、その伝え方や主張の順番等を考慮しながら手続を進めることが重要です。
どのように交渉を進めるとより適切な解決に導けるか、弁護士は常に考えながら手続を進めます。
ご自身で法的な知識の側面以外に、そのような点も配慮しながら手続を進めることは負担が大きく、それを弁護士に肩代わりさせられる点は大きなメリットといえます。

 交渉以外の労働審判、訴訟の手続についてもそのまま任せることができる
弁護士に依頼して会社と交渉した場合でも、残業代の支払いを拒む会社は一定数存在します。その場合、残業代を回収するには労働審判や訴訟に移行することになります。
このように交渉がまとまらない場合でも、弁護士は手続の最後まで伴走し、お力添えすることが可能です。

 

6 おわりに


個人で会社と交渉し、残業代を回収することは非常にハードルが高いといえます。
一方で、弁護士に依頼することで回収の可能性は高まります。
残業代請求でお悩みの際は、当事務所でお力になれる可能性がありますので、まずはお気軽に弁護士までご連絡いただければと思います。

 

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