「会社から解雇を通告されました。無効を争いたいのですが、今後の生活が心配です。」

「解雇が無効になった後は復職できるのでしょうか。」

 

このようなご質問をお客様から寄せられる場合がございます。

このコラムでは、解雇された場合の対処方法と具体的な解決策を解説します。

 

【目次】

1 解雇された労働者がとるべき対応策

2 解雇後の労働者の生活

3 解雇無効後の解決方法

4 解雇に関する当事務所の弁護士費用

5 おわりに

 

1 解雇された労働者がとるべき対応策

⑴ 解雇理由証明書を求める

解雇は、会社が主張する解雇理由に、客観的合理性又は社会的相当性がない場合は、解雇権濫用法理(労働契約法16条)によって無効となります。
そのため、解雇の無効を争うためには、解雇理由を確認することが不可欠です。
そこで会社から解雇の通告を受けた場合は、まず会社に「解雇理由証明書」の交付を要求すべきです。
労基法22条1項は、労働者からの求めがあった場合は、退職の事由を記載した証明書の交付を会社に義務付けており、会社がこの義務に違反した場合は、30万円以下の罰金刑が法定されています(労基法120条1号)。
当事務所でのご依頼の割合としては、この段階からのご依頼が最も多いです。

⑵ 解雇が無効であること、就労の意思があることを明らかにする

解雇を争う場合は、解雇が無効であること、就労の意思があることを、早い段階で会社に通告します。
これは、特に解雇が口頭で行われた場合には、後に会社が「あれは解雇ではなく、退職勧奨をしただけである。退職勧奨後、就労していなかった期間は無断欠勤である」などとして、別の理由により解雇の主張をさせるのを防ぐためです。
また、解雇を争う場合、解雇を争っている期間の賃金も併せて請求することが一般的です。もっとも、賃金請求を行うためには、就労の意思と能力があることが必要となります。そのため、就労の意思があることを明確にしておきます。
この段階より先は、解雇について争う意向があるのであれば、弁護士を入れた方が良いフェーズとなります。

⑶ 退職を前提とした行動をとらない

解雇を争う場合、退職を前提とした行動をとるべきではありません。例えば、退職金や解雇予告手当の請求は控えるべきです。退職金の請求は、退職を前提とする行為の典型例です。
また、解雇予告手当(労基法20条1項)は、解雇後の労働者の生計を維持するためのもので、解雇の有効無効とは無関係に支払われるべきものです。そのため、これを請求することが直ちに解雇無効の主張と矛盾することにはならないはずです。
もっとも、解雇予告手当の請求をしていることから、就労の意思を喪失したとして、雇用契約の終了を認定した裁判例(東京地裁平成23年11月25日判決)もあるため、請求を行わないのが無難です。
会社側が退職金・解雇予告手当の支払いを行おうとする場合には、返還する旨を申し出るとともに、万が一支払いがなされた場合には、解雇が無効であることを前提として未払いとなる賃金に充当する旨伝えるという方策も考えられるところです。
特に問題となるケースが多いのは、失業保険の受給(後記2)や、解雇後の別の会社への再就職です。再就職については、直ちに復職の意思が認められないことには繋がらない場合もありますが、その判断は事案によります(東京地裁平成15年4月28日モーブッサン・ジャパン事件では、復職の意思が認められないものとして地位確認請求が棄却されています。なお、解雇による未払賃金の請求自体は否定されません。)。
解雇後、他社での就業により得た賃金は、一部(=従前平均賃金の4割、労働基準法26条、最高裁昭和37年7月20日参照)償還義務が生じる場合がある(民法536条2項後段)ため、前記の復職意思の点と併せて、事案によっては再就職の判断自体、慎重な対応が必要となります。
そのため、解雇を争う場合に再就職を検討するケースにおいては、特に弁護士に個別事情を伝えたうえで相談し、再就職を検討することをお勧めいたします。

 

2 解雇後の労働者の生活

当然のことですが、解雇されれば、それ以降の賃金の支払いはされません。また、解雇無効を争う場合、解決までには一定の時間を要するため、その間の生計を支えるための手当をすることが必要となります。 
当面の生計を維持するために、最も一般的に用いられるのは、「雇用保険の仮給付として失業給付」を受けることです。
解雇を争っている場合には、仮給付として失業保険を受けることができます(この場合には、求職活動は求められません)。
給付を受けるには、ハローワークで受給手続きをする際に、仮給付として受給したい旨を申告し、解雇を争って係争中であることを示す文書を提出します。

 

3 解雇無効後の解決方法

会社との交渉や労働審判、訴訟の判決などで解雇が無効とされた場合、解決の方法は復職型と金銭解決(退職)型に分かれます。

⑴ 復職型について

結論からいうと、解決策として復職型が選択される場合は一般的にあまりありません。
なぜなら、会社は解雇が無効であるとしても、いったん解雇した労働者を復職させることに強い抵抗を示すからです。また、判決で解雇が無効と判断されたとしても、それだけでは復職が実現せず、復職後の待遇等について会社と協議が必要となります。
もちろん解雇無効を争う労働者の意思にもよりますが、一般的にはこれらの理由から、復職型はあまり選択されません。

⑵ 金銭解決(退職)型について

金銭解決(退職)型は、一定の金銭の支払いをもって労働契約を終了させる解決方法です。
この場合、会社から労働者に和解金の支払いがされるのが一般的ですが、この和解金は、①解雇時から紛争解決時までの未払賃金(いわゆるバックペイと呼ばれるものです)と②解決金で構成されることになります。
そして、②解決金の水準を決めるに際して最も重要なのが、判決等に至った場合、解雇無効の判断がされるかどうかです。
解雇無効と判断される可能性が高ければ解決金も高くなり、可能性が低ければ解決金も低くなります。
そのため、会社との交渉において、解雇が無効となる可能性をどれだけ示すことができるかが鍵を握っています。

 

 解雇に関する当事務所の弁護士費用(税込)

解雇

無効

 

着手金

報酬金

交渉

22万円

・任意交渉で解決した場合
22万円+和解額の19.8%


・労働審判で解決した場合
11万円+手続の結果認容された額の26.4%(最低33万円)


・訴訟で解決した場合
手続の結果認容された額の33%(最低44万円)
※復職をした場合は,上記金額に給与2ヶ月分相当額を加算する。
※解決金を受領せず,解雇ではなく合意退職扱いとする方法で和解した場合は44万円のみを報酬金とする。

労働審判

33万円

※交渉から労働審判に移行した場合は追加金22万円で承ります。

訴訟

44万円
※交渉から訴訟に移行した場合は追加金33万円で承ります。
※労働審判から訴訟に移行した場合は追加金22万円で承ります。

※復職をした場合は、報酬金額に給与2ヶ月分相当額を加算する。
※解決金を受領せず、解雇ではなく合意退職扱いとする方法で和解した場合は44万円のみを報酬金とする。

 

5 おわりに

本コラムでは、解雇された場合の対処方法と具体的な解決方法について解説しました。復職型、金銭解決(退職)型問わず自らに有利な解決を導くためには、解雇が無効であることを類似の最高裁判例・裁判例などで挙げられている要素を踏まえて、どれだけ説得的に主張できるかにかかってきます。
解雇対応について何か少しでもお悩みの際は、当事務所でお力になれる可能性がありますので、まずはお気軽に弁護士までご連絡いただければと思います。

 

 

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