男性、女性問わず、不倫をした結果、相手方の奥様やご主人から損害賠償を求められる場合があります。
不倫と一言で言っても、経緯は様々で、たとえば、配偶者がいることを聞かされずに交際していたケースや知っていたとしても様々な事情があるケースもございます。
また、弁解の余地はなかったとしても、法外な金額を請求されており、減額をすべき場合や、資力がないケースで分割を求めなければならない場合もございます。

今回の記事では、不倫慰謝料を請求された場合の対応と流れについて解説していきます。

 

【目次】

1 不倫の慰謝料請求とは

2 不倫の慰謝料請求がされた場合の対応1~事実関係・請求者手持ち証拠の確認

3 不倫の慰謝料請求がされた場合の対応2~請求を拒絶するのか、減額方針でいくのか

4 不倫の慰謝料請求がされた場合の対応3~一緒に不倫をした方への求償請求

5 不倫の慰謝料請求がされた場合の対応4~分割払い交渉、示談書取り交わし

6 おわりに

7 不倫の慰謝料請求を含む男女問題に関する弁護士費用

 

1 不倫の慰謝料請求とは

夫/妻(※1)がいる方と性行為・性交渉をした場合(※2)、不倫相手の配偶者(※3)から不法行為に基づく慰謝料を請求されることがあります。
この請求がされる場合、通常は、①内容証明郵便などの通知書が届き、そこから交渉を行い、②交渉が決裂して示談が出来なかったときは民事訴訟に移行することになります。

※1 結婚をしていなくとも、内縁やいわゆる彼氏彼女の交際関係でも発生すると考えられております。もっとも、特に彼氏彼女の関係の場合と婚姻関係がある場合には、損害の程度には差があると考えられております。

※2 親密さの程度問題にはなりますが、不倫相手と性行為・性交渉自体はなく、「二人で食事に行く」「連絡を取り合っている」ということだけでは不倫慰謝料請求権は発生しないか、発生したとしても慰謝料額は低額になるのが基本です。

※3 第三者と不倫をした夫/妻が、もう片方の配偶者に不倫慰謝料請求をすることも出来ますが、この場合は離婚(をするか否か)・財産分与をどうするかなどほかの考慮要素が絡む、より複雑な問題(交渉・法的手続)になることがありますので、本コラムでは不倫相手の配偶者からの不倫慰謝料請求に絞って説明します。

 

2 不倫の慰謝料請求がされた場合の対応1~事実関係・請求者手持ち証拠の確認

⑴ 前記1で述べたとおり、不倫慰謝料請求権が発生するためには、夫/妻と性行為・性交渉をしたという事実が基本的には必要になります。
そこでまずは、このような事実関係(請求された側からすればご自身の記憶等に基づく認識)の確認をすることが必要になります。

具体的には、
①性行為・性交渉をしたのかどうか
②性行為・性交渉をしたとすれば、いつ頃の時期から、どのくらいの期間・回数か
③性行為・性交渉を始めたのは不倫相手主導かどうか
④不倫相手が既婚者であることを知っていたのどうか
⑤この①から④までの事実関係を相手方に認めたことがあるのかどうか
⑥不倫相手自体は自分の夫/妻に対し性行為・性交渉を認めているのかどうか⑦不倫慰謝料請求者は離婚したのかどうか
⑧性行為・性交渉をもったとき不倫慰謝料請求者と不倫相手の婚姻関係はどのようなものであったか(長期間別居中などと聞いていたかどうか)
といったことを丁寧に確認する必要があります(慰謝料の金額にも影響します。)。

⑵ またご自身の記憶のほか、交渉・法的手続において「墓穴を掘らない」ためにも、不倫慰謝料請求者がどのような手持ち証拠を持っており、不倫関係を確信出来ているのかどうか、半信半疑(単なる疑念)なのかどうかを慎重に見極める必要があります。

 

3 不倫の慰謝料請求がされた場合の対応2~請求を拒絶するのか、減額方針でいくのか

前記2の事実関係・請求者手持ち証拠の確認を踏まえ、大きな方針、すなわち「性行為・性交渉をしたことはないので請求を拒絶する」(※4)、「性行為・性交渉をしたのは事実であるが、これこれの慰謝料減額事情がある」という方針でいくのかを決める必要があります。
仮に後者の減額方針で行く場合には、前記2の事実関係のうち、②(不倫開始時期、不倫期間、不倫回数)、③(不倫の主導性)、⑦(不倫による離婚の有無)などが重要な慰謝料減額事情になります。

※4 もう一つ、「性行為・性交渉時には不倫慰謝料請求者の婚姻関係は破綻していたので請求を拒絶する」という方針もありますが、一般的に婚姻関係の破綻の有無は、こちらが把握しにくい家庭内の事情なので証明が難しいといえます。

 

4 不倫の慰謝料請求がされた場合の対応3~一緒に不倫をした方への求償請求

不倫慰謝料請求者に慰謝料を支払った場合には、不倫慰謝料請求者の夫/妻に対し、不倫の共同不法行為者の責任の一部を肩代わりしたとして、例えば200万円を支払った場合には、不倫の責任が5:5であるとすればその半分の100万円を請求できます(これを「求償」「求償権」といいます。)。
この場合、不倫慰謝料請求者が離婚しないときは、結局は夫婦一緒のお財布につき「慰謝料の支払いを受ける(200万円の賠償を受ける)、求償権に基づき支払う(100万円の支払いをする)」ということになるため、求償権を放棄する合意を盛り込むことが慰謝料減額の交渉材料になることもあります。

 

5 不倫の慰謝料請求がされた場合の対応4~分割払い交渉、示談書取り交わし

前記2の方針に基づく交渉の結果、幾らかは慰謝料を支払うことになった場合も、一括での支払いは難しいという経済状況を説明することにより分割払いの合意を取り付けることが出来る場合もあります。
また、このような合意が出来た際は、賠償金額・分割方法・支払方法・これで全て解決済みであるという清算条項を盛り込んだ示談書を取り交わすことが重要です。

 

6 おわりに

不倫慰謝料を請求された場合、事実関係・手持ち証拠などを踏まえ、交渉の方針を決め、交渉材料(減額事情・分割払事情)を整理し、それらを回答書面・裁判書面という形にすることで有利で迅速な解決に至ることが出来る場合があります。
不倫慰謝料請求をされた場合には、まずはお気軽に弁護士にご相談頂ければと思います。

 

7 不倫の慰謝料請求を含む男女問題に関する弁護士費用

不倫慰謝料慰謝料を請求された場合の対応を含む男女問題に関する当事務所の弁護士費用はこちらのページをご参照ください。

https://kl-o.jp/divorce/#00002

 

 

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