業績悪化や後継者がいないなどの理由で会社を廃業する場合、具体的にどのような手順で進めるべきでしょうか。

 

このコラムでは、会社の解散から清算までの流れを、期間・費用と併せて解説いたします。

 

【目次】

1 会社の解散・清算とは

2 会社の解散から清算までの流れと期間

3 債務超過の場合について

4 会社の解散・清算に関する当事務所の弁護士費用等

5 おわりに

 

1 会社の解散・清算とは

事業を停止して会社を畳む場合、まずは「解散」を行い、その後に「清算」を行います。
「解散」は廃業の手続きで、「清算」は廃業後の負債や財産分配などの後始末のことをいいます。
後継者がいない、業績が悪化して今後続けていく自信がない、などの理由で事業を止めたい場合、まずは会社の「解散」を行いますが、解散により事業をやめさえすれば会社がなくなるわけではなく、買掛金や借金の支払いなどを含む「清算」を行うことになります。

 

2 会社の解散から清算までの流れと期間

会社の解散から清算までの大まかな流れは、以下のとおりです。なお、後述する「清算事務の遂行」の債権者保護手続で実施する官報の公告は、2か月以上行う必要があるため、少なくとも清算が終了するまで2か月以上かかることになります。

  • 会社の解散
      ↓
  • 清算人の就任・選任等
      ↓
  • 清算事務の遂行
      ↓
  • 清算事務の終了


⑴ 会社の解散
会社の解散を行う場合は、会社法471条所定の以下の解散事由が発生することが必要になります。

① 定款で定めた存続期間の満了(会社法471条1号)
② 定款で定めた解散の事由の発生(会社法471条2号)
③ 株主総会の決議(会社法471条3号)
④ 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限ります。)(会社法471条4号)
⑤ 破産手続開始の決定(会社法471条5号)
⑥ 裁判所による解散命令又は解散の訴えによる解散を命ずる裁判(会社法471条6号)

経営者が自主的に会社を解散させる場合、ほとんどは③株主総会の決議になります。
なお、この場合の株主総会は、行使できる議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の2/3以上による多数の賛成を必要とする特別決議(会社法309条2項11号)による必要があります。


⑵ 清算人の就任・選任等
会社を解散させた後は、まずは清算事務を行う「清算人」の選任、就任を行います。
清算人は、定款で定める者又は株主総会の決議によって選任された者がある場合を除き、取締役が就任します(会社法478条1項)。
清算人は、解散の日から2週間以内に解散の登記を(会社法926条)、解散又は清算人の就任の日から2週間以内に清算人の登記(会社法928条1項・3項)を行います。
また、会社は、解散後遅滞なく、所轄の税務署長に対し、解散及び清算人の就任・選任につき異動届出書を提出します。


⑶ 清算事務の遂行
清算人は、その就任後、以下の清算事務を遂行していきます。

① 財産目録・貸借対照表の作成
清算人は、その就任後遅滞なく、清算株式会社の財産の現況を調査し、清算の開始原因に該当することとなった日(通常は解散の日)における財産目録等を作成します(会社法492条1項)。
その後、清算人は、財産目録等について株主総会の承認(普通決議=行使できる議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数を必要とする決議)を受ける必要があります(会社法492条3項)。

② 債権者保護手続
会社は、解散後、遅滞なく、債権者に対し、一定の期間(この期間は2か月を下ることができません。)内にその債権を申し出るべき旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければなりません(会社法499条1項)。なお、この公告には、当該債権者が当該期間内に申出をしないときは清算から除斥される旨を付記しなければなりません(会社法499条2項)。
「知れている債権者」とは、会社の帳簿その他により氏名・住所等が会社に知れている債権者をいい、債権額が確定していなくともよいとされ、知れている債権者に対する各別の催告を省略することはできません(落合誠一編『会社法コンメンタール12』269頁(商事法務、2009))。なお、公告及び知れている債権者への各別の催告はそれぞれ1回で足ります。

③ 現務の完了
現務の完了とは、解散時にまだ終わっていない業務を完了させることです。具体的には、取引先との締結済み契約の履行や従業員との雇用契約の解消などです。

④ 債権の取立て及び債務の弁済
買掛金や借入金、家賃の未納などがあれば支払います。

⑤ 残余財産の分配
会社の財産を換価し、債権者に債務を弁済してもなお財産が残る場合、株主に残余財産を分配します。分配割合は、各株主の株式の持分割合によって決まります。

 

⑷ 清算事務の終了
上記の清算事務の終了後、清算人は、決算報告書を作成し、これを株主総会において承認を受ける必要があります(会社法507条)。
その後、会社は、株主総会における決算報告書の承認の日から2週間以内に清算登記をし(会社法929条1号)、所轄の税務署長に清算結了に関する異動届出書を提出します。
これで晴れて会社の清算が終了となります。

 

3 債務超過の場合について

以上の手続きは、「通常清算」と呼ばれる手続きの方法であり、会社の資産状況が、いわゆる「債務超過」の場合(借入金や未払金等の債務の額が、預金や不動産等の資産の額を越えるような場合)には、この手続きによることはできません。
会社が債務超過の場合には、「破産」や「特別清算」といった、いわゆる「倒産」の手続きをとらなくてはなりません。
破産や特別清算では、裁判所の監督のもと、より厳格に手続きを進めていくことになります。

 

 会社の解散・清算に関する当事務所の弁護士費用等

弁護士費用は、法律相談料、着手金、報酬金、実費等に大きく分けられます。
法律相談料の相場は、30分5500円(税込)程度です。当事務所では、初回30分は無料で、それ以降は30分ごとに5500円(税込)をいただいております。
着手金は、事件のご依頼を受けて活動をする最初にいただく費用で、事件の結果によって金額が変わることのない費用です。当事務所では、ご依頼から3営業日以内にお支払いいただくこととなります。

【着手金(通信・印刷費を含む)の額(税別)】
⑴ 基本着手金
50万0000円

⑵ 営業所・店舗等の明渡し対応が必要となる場合
明渡し未了の営業所等1か所につき追加着手金15万円

⑶ 従業員の退職・解雇対応が必要となる場合
①従業員10名までの場合は、追加着手金10万円
②従業員10名を超える場合は、①に加え、10名ごとに追加着手金10万円

⑷ 債権者数が20名を超える場合
①債権者数が20名を超え40名までの場合は、追加着手金10万円
②債権者数が40名を超える場合は、①に加え、10名ごとに追加着手金5万円

【報酬金】
 0円

実費等
①会社解散の登録免許税  3万円
②清算人選任の登録免許税 9000円
③官報公告費       4万円
④清算結了の登録免許税  2000円
⑤実費
ご依頼者の方にご負担いただきます。通信費や交通費のほか、登記や官報公告を司法書士に依頼する場合にはその司法書士報酬、解散時における税務申告を税理士に依頼する場合にはその税理士報酬、賃借物件の明渡し費用なども含みます。

 

5 おわりに

以上、解散・清算の流れ、期間、費用をご説明しましたが、清算手続きは各種届出や財産目録の作成など、非常に複雑になっております。
会社の解散・清算で何か少しでもお悩みの際は、当事務所でお力になれる可能性がありますので、まずはお気軽に弁護士までご連絡いただければと思います。

 

 

お電話でのお問い合わせ

平日9時~18時で弁護士が電話対応 

初回ご来所相談30分無料

☎︎ 03-5875-6124