─雨で仕事が休みになった場合に休業手当はもらえるか

建築現場等でお勤めの方は,雨天(天災レベルではない雨天)なので今日の仕事は中止になった,等と当日いわれる場合がございます。

このようなケースのときに,休業手当として賃金を受け取ることはできるのでしょうか。

労働者,会社経営者ともに参考にしていただきたい内容となっております。

本コラムでは,この点を説明していきます。

目次

1 日給制
2 ノーワークノーペイの原則
3 ノーワークノーペイの原則の例外─休業手当─
4 休業手当の対象となる就労予定日(労働契約上労働義務のある就労予定日)
5 雨の日に仕事がなくなった場合に会社がとりうる3つの方法
  ⑴ 休業手当を支払う
  ⑵ 出勤をしていただき,現場仕事以外の仕事を行っていただく
  ⑶ 振替休日

1 日給制

日給制とは、給与が1日あたり○○円と定められており、働いた日数分の給与が支払われる制度です。

建築関係や運転手の方は,日給制で賃金を計算して,ひと月分をまとめて支給される方も多いのではないでしょうか。

2 ノーワークノーペイの原則

賃金は,働いたら支払われ,働かなかったら支払われません。これをノーワークノーペイの原則といいます(労働契約法6条,民法624条参照)。

 日給制で仕事をした場合は,当然支払われることとなります。日給制で仕事をすることと決まっていた日に,雨が降り,仕事ができなかった場合は,働かなかったこととなります。働かなかった場合は,この原則に従うと,賃金は貰えないこととなりそうです。

3 ノーワークノーペイの原則の例外─休業手当─

会社側の都合により労働者を休業させた場合、休業させた所定労働日について、平均賃金の6割以上の手当(休業手当)を支払わなければなりません(労働基準法26条)。

これは,働かなかったとしても,働かなかったのは会社側の都合の場合は,賃金を支払うべし,というノーワークノーペイの原則の例外となります。

ここでいう会社側の都合(使用者の責に帰すべき事由)は広く解されており,地震や災害などの不可抗力による場合を除き,例えば資材が届かずに仕事ができない場合なども含まれます。

雨が降って仕事ができなかった場合についても,自然現象によるものであるという理由だけで一律に不可抗力とされるわけではなく,会社が通常尽くすべき最善の努力を尽くしても就業させることができなかったかどうか等を,個別の事情から総合的に判断するとされています(昭和41年6月21日基発630号。厚生労働省も休業手当の解説の中でこの考え方を紹介しています。)。

そのため,雨が降ったため仕事がなくなった場合でも,会社側は,平均賃金の6割以上の手当(休業手当)を支払わなければならない場合があります。

4 休業手当の対象となる就労予定日(労働契約上労働義務のある就労予定日)

 休業手当を受け取るためには,「働く予定であったけれども会社都合で休業にすること」が必要です。

 例えば,シフトカレンダー等で働く予定が決まっていれば,その働く予定がなくなってしまった場合,休業手当の対象となります。

 もっとも,もともと仕事(工事の現場)が入っていない日は,当たり前ですが,会社の都合で休業にしたわけではありませんので,ノーワークノーペイの原則に従って,賃金は受け取ることができません。

 休業手当の請求・支払いにあたっては,対象となる日が,就労予定日となるかどうかをきちんと判断する必要があります。

 会社は,例えばシフトカレンダー等を書面で提示する等して,個別の労働者の就労予定日を確定することが肝心といえます。これを怠ると,会社の所定休日以外はすべて就労予定日であった等との主張を許すことにもなりかねません。

5 雨の日に仕事がなくなった場合に会社がとりうる3つの方法

就労予定日に雨が降った場合,会社には次の3つの選択肢があります。

⑴ 休業手当を支払う
こちらはこれまで説明してきたとおり,平均賃金の6割以上の休業手当を支払い,お休みしていただく対応です。

⑵ 出勤をしていただき,現場仕事以外の仕事を行っていただく
機材のメンテナンスや事務仕事等をお願いするという選択肢があります。

⑶ 振替休日
雨で仕事ができなくなった日と休日を振り替えて,休日に仕事をしていただくという選択です。

もっとも,この方法を採用するためには,事前に労働協約や就業規則で規定しておく必要がありますし,労働者の理解を得ることも必要となります。


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